"女の色香で迫れば男は簡単に落とせる"



そう

これがくの一の教え

たとえ容姿がそこまで美しく無くとも、

男はちょっとした仕草や言動でいとも簡単に落ちてしまう…

そういう事らしい

でもはっきり言って私にはそんな自信は無い

それなのに…










「それじゃぁ、明日から実践テストに入ります」



ある日先生がこんな事を言い出した



「先生、実践って何をするんですか?」



誰かが尋ねる



「そうね、男の子を一人自分の虜にさせて見て貰います」



この言葉に教室内の女の子は騒ぎ出す



「はい、静かに!!」



先生が手を叩く



「明日から一週間猶予を与えます、それまでに一人目標を決めて落としてみて下さい」

「落とすって…誰でも良いんですか??」



また、前とは違う誰かが尋ねる



「ん〜…男の子は数が多いから余る事は無いと思うけど、やっぱり人気ある子に集中しちゃうかしら?」

「あの、公平にくじで決めた方が良いと思います」



何だか余計な事まで言い始める子もいる



「わかりました、じゃぁくじ引きで決めましょうか」

「「「「「「はーい」」」」」」



嗚呼

困った事になった

男の子を虜にするだなんて…

そんな事出来るわけが無い

だって

だって…



、大丈夫?」

「…大丈夫な訳ないよ〜……」

「そうだよね…って恥ずかしがり屋っていうか、人見知り激しいもんね」



そう

私は他人が苦手

今では仲の良い友達ですら

最初は中々打ち解けられず私はもちろん友達も苦労したようだ

特に男性は苦手中の苦手で、そんな私が異性を虜になんて出来る訳が無い



「まぁ大丈夫だよ。可愛いし、歩いてればそれだけで落とせるって」

「そ、そんな気楽な…」



友達はこう言ってくれたけど

本当に困った



「さぁ、くじが出来たから一人ずつ前に出て来て頂戴ね」



机の並び順にクラスメイトが次々とくじを引いていく

相手が決まり一喜一憂する可愛らしい声を聞きながら、

私はどうか目立たなくて恐くない人に当たりますようにと言う事だけを祈っていた



「はい、次さん引いて」

「は、はい…!!」



箱に手を入れる

数枚の紙が私の手に触れる

私は適当な紙を一枚選んで引っ掴んだ

本当は右の紙にしよう左の紙にしようか相当悩んだのだけれど

直感で選び出した



私が選んだのは…













この紙キレ一枚が私の運命を大きく変えるとは流石に考えていなかったのに…




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'04/02/05