「ただいま…ってなんだ? 猫?」



いつもの仕事を終えて帰宅した静雄の足元に、見慣れない物体がまとわりついてきた



「あ、静雄おかえり。ごめんね、急ににゃんこが飛び出して…」

「や、それはいいけどよ…。どうしたんだ、こいつ…」

「友達が急に実家に帰ることになっちゃってね、一週間だけ預かってるんだ。せっかくだし、静雄にも見せようと思ってさ」



恋人であるが出迎えるより先に出迎えてきた仔猫

普段はあまり見ないそれに、静雄の顔も知らないうちに緩む



「…可愛いな。それに小さい」

「そりゃ仔猫だもん。ふふっ、静雄、抱いてみる?」

「俺が…?」



静雄の周りでうろうろしている仔猫を抱き上げて、が渡してこようとする



「俺が抱いたら潰しちまうんじゃないか…?」

「またそんな事言ってる。大丈夫だよ、この子は静雄のこと怖がってないんだし。ほら、可愛いよ?」



差し出された仔猫を恐る恐る抱き上げる。仔猫も怖がらずに、逆に静雄に擦り寄っている



「ちっさ…柔らかいな…」

「ふふ、でしょ? 可愛いよね」



暫く撫でたあと、静雄は慣れてきたのかオモチャで仔猫と遊びはじめた



「……面白い」

「(微笑ましいなぁ…やっぱり動物って癒してくれるんだなぁ…)」



1時間ほど遊んでいると、眠いのか仔猫が大人しくなってきた



…こいつ、眠いんじゃないか?」

「あ、本当だ…。お眠かにゃー? じゃあケージに戻ろうにゃー」



動物相手だと言葉が若干おかしくなるを笑っていると、仔猫をケージに戻したが、背中から抱きついてきた



「ん、どうした?」

「…静雄がにゃんこばっかり構うから…」

「寂しかったのか?」

「…言わせないでよ」

「ははっ、悪りぃ。で、猫ばっかり構う俺に妬いた? 俺に構われてる猫に妬いた?」

「うぅ…なんか今日の静雄、意地悪だ」

「いや、が可愛いこと言うからよ。ほら、拗ねないでこっちこいよ」



笑いながらを正面に回らせ、自分の膝の上に頭を乗せる

俗に言う膝枕の状態に、赤面しつつが抗議する



「静雄、これってちょっと…」

「仔猫の世話で、少し疲れてんだろ? 眠そうだし、このまま寝てろよ。起こしてやるから」

「んん…」



の髪を梳く優しい手つきに眠りを誘われる

手つきと同じように優しい目をしているだろう静雄を見られないのは残念だが、眠気のほうが強くなってくる



「おやすみ、静雄…」

「あぁ、起きたら遊んでやるから。おやすみ、



わたしは猫じゃないも思いつつ眠りにつくに、温かい何かが触れた気がした



END