三郎と兵助に背中を押され、の居る茶店へと足を進める雷蔵

自身が女装している事実にはまだ気付いていない



「茶店って何処だっけ…、兵助の話だと確かこの辺に…」



てくてくと道を歩きながら辺りを見回しそれらしい店を探す

そしてふと足を止めると数件先の店の前に居る少女に目が行った



「いらっしゃいませー!!」



元気良く呼び込みをしているのは雷蔵が探していた

雷蔵は思わず息を飲みを見つめた



「ど、どうしよう…」



色々と流されて此処まで来てしまったが、ふいに我に返ると何だか恥ずかしくなって来たらしく、雷蔵はいつもの様に悩み始めた



「ま〜た始まったぞ」

「う〜ん、此処まで来て悩むなんて流石雷蔵だよね」



そんな雷蔵を相変わらずこっそりと見守る二人



「しかもまだ自分が女装してる事に気付いてない」

「それだけ頭の中がさんでいっぱいなんだよ」



三郎の指摘に兵助は笑って答えた



「でもあんな所で店先をうろうろしてたら不審者極まりないな」

「そうだね…」



三郎と兵助がそんな事を話しているとか露知らず

雷蔵は店に入るかに話し掛けるかはたまた諦めるかと葛藤していた



「うぅ…」



雷蔵がぐるぐると思考を巡らせていると、ふいに少女と目が合ってしまった



「……っ」



すると固まっている雷蔵ににっこりと笑い掛けながらは近付いて来た



「どうかしましたか?さっきから悩んでるみたいっすけど…」

「え、あの…」

「この辺、最近変な奴等が出るから貴女みたいな可愛い人がうろうろしてたら危険ですよ?」



は少し心配そうに顔をしかめながら雷蔵にそう伝える

雷蔵はそんなの言葉を聞いて、初めて自分が今女装している事を思い出した



「(しまった…!!)」



心の中で盛大に叫ぶが今更どうにもならない

雷蔵は折角買った櫛が入った袋を即座に後ろに隠すと、曖昧に笑って咄嗟に口走った



「えっと、ちょっと喉が渇いたから…良いお店ないかなって探してたんです」



小さな声で控えめに言うと、の顔がぱっと明るくなる



「それだったらうちのお店に寄りませんか?サービスしちゃいますよ」



にっこり極上のスマイルでそんな事を言われたら断る訳にはいかない

そして雷蔵が自分の姿との笑みに挟まれ葛藤している様を、三郎と兵助は相変わらず見守っていた



「おーおー、悩んでる悩んでる」

「元々悩み癖があるのにあの笑顔はキッツいよねー…」



何処となく楽しそうに呟く三郎の横で兵助は苦笑しながら呟く



「可哀想になぁ…、女装さえしてなければ喜んで行くべき状況なのに」

「でもさぁ、女装してなかったら声掛けて貰ってないかもよ?」

「それもそうか、……そうするとどっちが良かったんだかなぁ」

「うーん…」



二人が腕を組んで雷蔵同様悩んでいると、兵助が小さく声を上げた



「三郎、雷蔵が…」

「お、結局笑顔に負けたのか」



兵助が指差す方向を見ると雷蔵がに腕を引かれて店へ入ろうとしている所だった

三郎は笑いながらまぁ当然の結果だよな、と呟いた



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「それじゃぁ今おしぼり持ってきますね、メニューはそこにありますから」

「有難う御座います」



は雷蔵を席まで案内するとぱたぱたと奥の方へ走って行った

雷蔵はこじんまりとしていて可愛らしい雰囲気の店内を見回しそっとため息を付く



「何でこんな事に…」



先程買った櫛を眺めながら、これからどうしようかを考える

はどうやら自分を完璧に女だと思い込んでいるらしいし、此処で実は先日の男でした、なんて言える訳がない

しかしこのままの格好では折角買った櫛が渡せない

雷蔵でなくても迷ってしまう様な状況に、雷蔵はますます頭を混乱させていた



「お待たせしました、何か頼む物決めました?」

「あ、はいっ、えぇと……あんみつと、緑茶をお願いします」

「あんみつと緑茶…、ですね、解りました〜」



はメモを取ると再び奥へ行ってしまう

雷蔵はの後姿を見送り櫛を着物の袖にしまった

暫くすると、雷蔵は何となく外が煩い事に気づく



「なんだろ…?」



ひょいと首を動かし外を見ると、大きな男が数人の前に立っていた



「うわ、皆大きいなぁ…、それに顔も怖い……」



雷蔵は心身ともにすっかり女の子の様な事を呟きながらふと厨房の方を見た

するとが厨房からすたすたと入り口に向かい歩いて行く

そして店の外に出たかと思うと威勢の良い声を張り上げた



「こんなに大勢連れてまぁご大層な事ね、人数連れてくれば勝てるとでも思ってるのかしら?」



男達からしてみればの体は何とも小さいもの

のいきなりの毒舌に男達は早くも青筋を立てており今にも襲い掛かりそうな雰囲気だ

しかしはそんな男達を冷ややかに見下しながら続ける



「あのねぇ、私はこの前二度と顔見せるんじゃないって、言ったハズよねぇ?
余程学習機能が低下してるのかしら、それとも単細胞過ぎて人語も理解出来ない?」



店の入り口を囲む5名程の男達に、の言葉が次から次へと襲い掛かる



「えぇぇ…!?」



雷蔵はそんな光景が信じられず、思わず席を立ち上がり入り口の傍へ走った



「ねぇ三郎、何か凄い事になってるよ」

「ていうかあいつ等俺達がさんに会いに行った時に居た奴だな」



雷蔵を見守っていた三郎と兵助は思わぬ展開に多少慌てながらも相変わらず行く末を見守っている



「お礼参りってやつかなぁ…」

「だろうな、でも大の男5人とあんな細っこい女の子1人っておかしくないか?」

「確かに。 でもさん前回はあの男達を追い払ったんだよね…、一体どうやったんだろ」

「ん〜…、強そうには見えないよなぁ…」



そんな事を話している頃、と男達の睨み合いは未だ続いていた



「さぁ、解ったらさっさとお家へ帰って頂戴、お客様の迷惑になるからね」



が片手で追い払う振りをしながらそう言うと、ついに男達にも限界が来たらしい



「っのアマ、こっちが黙ってりゃ良い気になりやがって!!!!!」

「その達者な口を塞いでやるよ!!!!」



2名程がそう叫んだのを皮切りに、男達は一斉にに飛び掛った



「危ないっ!!!!」



そう叫んだのは雷蔵

それまで入り口近くの柱の影で様子を伺っていたのだが、とっさにを抱き上げて屋根の上へと避難した



「!?」



それに驚いたのは男達と、他ならぬ



「お、お客様!?」



は桃色の着物に身を包んだ何処からどう見ても女の子である雷蔵を驚いた表情で見つめている



「あっと…、そのー…」



雷蔵は思わずとってしまった行動に軽い後悔を覚えながらも下で喚いている男達を見下ろした後、決意した様に小さく頷いた



「あの、この前は火薬袋を兵助に預けてくれて有難う」

「え…?」



雷蔵の言葉に首を傾げるを抱えたまま、雷蔵は着ていた女物の着物を脱ぎ捨てる

着物が風に舞っている間に化粧も何もかもを落とし元の姿に戻ると、少し困った顔で笑って見せた



「今日、本当は君にお礼をしようと思って来たんだけど…、成り行きで女装したまま来ちゃって…」

「はぁ…」

「あの…、とりあえずあの人達は何者?」



雷蔵が屋根の下で降りて来い、等と喚いている男達を見ながら尋ねると、も同じ様に見下ろしながら答えた



「えぇと…、あいつ等の中のあの一番でっかい奴、あれがリーダーなんだけど…、あいつが……その…」

「うん、あの人がどうしたの?」



は一瞬言葉を詰まらせた後、心底嫌そうに呟いた



「何か…、嫁になれとか言って来て……」

「ぇえ!?」

「最初はやんわり断ったんですけど、どうしても納得行かないみたいで何度も何度も尋ねて来て…」

「そっか…、話しても解ってるくれる相手じゃなさそうだもんね」



雷蔵は男達を見下ろしながら何処か遠くを見て呟いた



「でもこのままじゃ埒が明かないな…」



を腕に抱いたまま首を捻ると、雷蔵は軽く跳躍して屋根から飛び降りた

そして男達の前に立つとを地面に降ろす



「やっと降りてきやがったか」

「何者なんだてめぇは?」



が話していたリーダー格の男を真ん中にしながら、手下と見られる男達が雷蔵を囲む

雷蔵はそんな男達からかばう様にを自分の後ろに隠すと、例のリーダーが一歩前に出て雷蔵を見下ろした



「その女をこっちに渡して貰おうか」



威圧感たっぷりに言い放つ男に、雷蔵はキッパリ言い放つ



「好きな人を困らせる様な男に、さんは渡せません」



雷蔵がをしっかりと背中に隠したまま告げると、一瞬静かになった男達は豪快に笑い始めた



「格好良いねぇ兄ちゃん」

「渡せません、だとよ、聞いたかおい?」



好き放題に言い合い笑った後、他の男達も一斉に雷蔵に詰め寄る



「渡せませんと言われてはいそうですか、って訳にはいかねぇのよ」

「お前みてぇなひょろっちぃ野郎に何が出来るって言うんだ?」

「解ったらとっととその女を置いて帰りな、お前に用はねぇんだ」


じりじりと距離を詰めて来る男達を前に、雷蔵はぴくりとも動かず男達を睨みつけている



「ねぇ三郎、助けに行った方が良いと思う?」



こっそりと屋根の上に移動して様子を伺っていた兵助は三郎に尋ねる

三郎は視線を雷蔵の方へ向けたまま答えた



「いや、此処で俺達が出て行ったら台無しだろ」

「だよね、でも雷蔵大丈夫かな」

「平気だって、あいつも男だ、好きな女位守れない様じゃ駄目だろ」

「それもそうか」



三郎の言葉に納得したのか、兵助は再度雷蔵の行方を伺うべく下を見た

するとリーダー格の男がまさに雷蔵に向かい飛び掛っている所

しかし雷蔵は男の攻撃を最低限の動きで交わすと、一発だけ下腹部付近に打ち込む

その拳は三郎と兵助ですら滅多に見る事の無い、確実な敵意を抱いた物だった



「あー…」

「あーぁ…」



豪快に倒れこむ男を見下ろしながら、兵助と三郎はほぼ同時に呟く



「ぐぅっ…」



男は何が起きたのか理解出来ていない様で転がったまま苦しんでいる

雷蔵を囲んでいた他の4人はすっかり意気消沈し雷蔵の周りから遠く離れてしまった



「雷蔵…、キレると怖いんだよね…」

「滅多にキレないからそこが逆にな…」



兵助と三郎が苦笑しながら見下ろしている先で、雷蔵は倒れた男を見つめていた



「好きな人に自分の勝手な感情で迷惑掛けるなんて最低です」

「…………」

「あれ、気絶しちゃった…? やり過ぎちゃったかなぁ」



雷蔵は倒れたまま動かない男の様子を見て呟くと、やたらと遠くから自分を見ている男達に向かって話し掛けた



「この人を連れて今すぐ帰って下さい、そして今回の事に懲りたら二度とさんに近付かない事です」



あくまでも丁寧な口調の雷蔵だが、その目は酷く冷ややかな色をしている



雷蔵に話し掛けられた男の仲間達はびくりと体を強張らせた後、すぐさま男を担いで逃げ出した

そんな男達を見送り、雷蔵は緊張の糸が切れたのか深いため息をつく

そしてふと自分の後ろで呆気に取られているを見て、恐る恐るといった様子でに話し掛けた



「あの、勝手な真似してごめん…、どうしてもあの人達の事許せなくて……」



申し訳なさそうに弁解する雷蔵の姿をは見つめたまま未だに呆けている



「雷蔵さんって…一体何者なんですか…?」



ぽつりと呟く様に尋ねられた言葉に雷蔵は一瞬戸惑うが、やがて困った様に微笑んだ



「僕、忍者の端くれなんだ…、この前の火薬袋も、その為の物」

「えっと…あの女装も……?」

「あ、うん女装するのも常套手段なんだ、別に僕の趣味じゃないんだよ?」



雷蔵を見上げていたは、雷蔵の慌てて誤解を解こうとする姿を見て笑い出した



「あの、さん…?」

「ふふ…、ごめんなさい、雷蔵さんが何だか可愛いから…」

「か、可愛いって…」



すっかりいつも通りの少々情けない表情に戻った雷蔵に向かい、はにっこりと微笑んだ



「助けて頂いて、本当に有難う御座いました」

「いえ…、僕もお礼が出来て良かった……って…そうだお礼!!」

「ど、どうかしましたか?」



雷蔵は自分が言った言葉で当初の目的を思い出し、慌てて自分の着物を探る



「無い…、ってそうだよあの桃色の着物の中だ!!」



女装までして買いに行ったに渡すはずだった櫛を、

とっさに腕の袂に入れたままなのを忘てれ豪快に脱ぎ捨ててしまった事に気付き雷蔵は青ざめる



「あぁもう、こんなんばっかりだ…」



辺りを見回して脱ぎ捨てた着物が見当たらない事に雷蔵はがっくりと肩を落とす



「全く本当に雷蔵は…」

「三郎…」

「はいこれ、風に流されて大分向こうに落ちてたよ」

「兵助…」



もはや当然の事の如く突然現れた三郎と兵助

雷蔵は兵助から着物を受け取るとその中にに渡す予定だった紙袋を取り出した



「良かったぁ、有難う三郎、兵助」

「気にするな、これも友人の務めってやつさ」



笑いながら三郎が雷蔵の肩をバシバシと叩く中、兵助が苦笑しながら二人に話し掛ける



「あのさ、さんがすっごい驚いてるんだけど…」

「「ん?」」



兵助に言われてを見ると、そこには三郎と雷蔵を見比べて頭にたくさんの疑問符を浮かべたがいる



「え、え? 雷蔵さんが…二人…!?」

「あ、えぇと、三郎も兵助も僕と同じ忍者でね、三郎は変装の術が得意なんだ」

「この前さんに会った時は雷蔵じゃなくてこっちの顔だったんだよな」



そう言うが早いか三郎は一瞬にして前回に会った時の顔になる



「ゎ…、忍者の方って凄いんですね…」

「そりゃどうも、まぁこの程度出来て当然だけどな」



三郎は驚くに笑って答えると、兵助に目で合図を送った



「あ〜、そろそろ僕達帰らなきゃ、ね、三郎」

「そうだな、残念だけど俺と兵助は帰らなきゃいけないな」

「え?ちょっと兵助?三郎?」

「いやいや、俺達は"偶然"通りがかっただけだしなぁ?兵助」

「そうそう、"偶然"二人で歩いてたら雷蔵を見かけただけだから」



三郎と兵助はやたらと"偶然"である事を強調しながらに告げる



「じゃぁ僕達先に帰ってるからね」

「ぇえ…」

「じゃぁな雷蔵」



二人で雷蔵の両肩をぽんと叩くと、三郎と兵助は姿を消した



「…行っちゃいました、ね……」

「そう、ですね…」



瞬時に消えた二人が居た方向を不思議そうに見つめてがぽつりと呟く

雷蔵は苦笑しながら答えると、兵助から受け取った櫛の入った包みをきぎゅっと握った



「あ、あの…、さん」

「はい?」

「これ…、この前のお礼にと思って……」



雷蔵は一瞬躊躇ったが、それでも雷蔵にしては珍しく、迷う事なく包みを差し出した



「そんな…、今日あれだけ助けて貰ったのにお礼だなんて…」



は雷蔵の思わぬ行動に少し慌てながら手と首を振った

しかし雷蔵の表情を見るとは小さく笑い、やがて包みを受け取った



「開けてみても良いですか?」

「あ、はい…」

「……わぁ…」



雷蔵に了承を得て包みを開けたは、出てきた櫛を手に取り感嘆の声を上げると、雷蔵の顔を見上げた



「これ、雷蔵さんが選んで下さったんですか?」

「はい、さんに似合いそうだなって思って」

「嬉しい…、有難う御座います、雷蔵さん」



は櫛を握り締めて呟くと、満面の笑みで雷蔵に微笑みかける

雷蔵の顔は一瞬にして赤くなった



「…………」

「雷蔵さん?どうしましたか??」

「………っ」



の目の前で真っ赤になったまま固まってしまった雷蔵を見上げ、は首を傾げる

雷蔵は暫く俯いたり辺りを見回したりと一人百面相を一通り披露した後、ようやく顔を上げた

そして不思議そうに雷蔵を見ているの両手を取ると、勢いに任せる様に言い放った



「あの…、良かったら僕と………っ、お、お付き合いを前提にお友達になって下さい!!!!!」



それはこの場に三郎と兵助が居たら全力でツッコミを入れそうな台詞

しかし雷蔵的には至って大真面目らしく、呆気に取られているを前に固まったまま動かない



「……えぇと…、私なんかで良ければ……、仲良くして下さい…」

「…良かったぁ………」



暫くの沈黙が続いた後、は雷蔵に握られたままの両手を見て微笑み呟いた

雷蔵は顔を上げを見つめると、やがて全身の力が抜けたのか大きなため息と共に幸せそうに笑った

そんな雷蔵の様子にもつられ、二人はお互いに顔を合わせながら笑い合った



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「三郎〜!!兵助〜!!!!」



バタバタと忍者らしからぬ足音を立てて部屋へ飛び込んで来たのは帰って来たばかりの雷蔵

部屋でくつろいでいた二人は雷蔵の呼び声に顔を見合わせて笑う



「おかえり雷蔵、その様子だと上手く行ったみたいだね!!」

「良かったなぁ雷蔵、これでお前も一人前の男だ!!」



部屋に飛び込んで来た雷蔵を兵助と三郎が迎え入れると、雷蔵は力いっぱい頷きながら二人に抱きついた



「あーもう本当に緊張したよー!!」

「ははっ、告白してる時の雷蔵、見たかったなぁ」

「まぁ大体想像付くけどな、顔なんて真っ赤にしちゃってさ」

「うん、確かに想像しやすいよね」

「で、雷蔵、お前さんに何て言ったんだ?」



三郎の質問に雷蔵は二人から体を離すとそれはそれは幸せそうに、頬を染めた



「えっと…、お付き合いを前提に友達になって下さい、って」

「はぃ…?」

「おま…、何だそりゃ…」



思いっきり二人の期待を裏切った答えに、三郎と兵助はその場に倒れ込んだ



「え、何か変だったかなぁ?」

「いや…、うん、良いんだ、それで雷蔵とさんが少しでも近付いたなら…うん……」

「そ、そうだな……、雷蔵だもんな…、仕方ないよな……」

「?」



乾いた笑い漏らしながら倒れている二人を雷蔵は不思議そうに眺める



「でさ、雷蔵…」

「何?」

さんとは結局どうなったの?」

「あ、うん、今度また行く約束したよ、今日食べそびれた分とか今度出してくれるって」



兵助の問いに恥ずかしそうに笑いながら答える雷蔵を見て、兵助と三郎は再度顔を見合わせると苦笑した



「雷蔵…らしいよね」

「そうだな…、まぁ本人が幸せなら俺達がとやかく言う必要ないな」



そんな事を呟き合い、二人の前で幸せそうに微笑む雷蔵を見て笑った



- END -



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終わっ…た?

みたいな終わり方になりました。

しかももうこれDreamとかじゃなくて5年生の友情小説みたいになってる;

まぁ…、たまにはこんなのもアリかなって事で許してください。・゜(ノД`

恐ろしく長い歳月が掛かりましたが雷蔵Dream(仮)、これにて終幕です!!

あぁもう無理だ_| ̄|○



'06/06/16