「諸君、今日が何の日か知らない者はいないな?」



学園長はぐるりと生徒達を見回して問いかける



「うむ、いないようじゃな」



満足そうにそう呟くと一際大きな声で告げた



「諸君も知っておる通り今日は七夕!!そこでこれより学年対抗七夕祭りマラソンを開始する!!」



大々的にそう告げた途端、生徒達から非難の声が上がる



「何で七夕にマラソン?」

「ったく、学園長の思いつきは本当に迷惑なんだから」

「でも一体何処を走るんだろうね?」



乱太郎、きり丸、しんべヱ他大勢がそう口々に文句を言う

同じような声が次々と上がる中、学園長は咳払いを一つして説明を始めた



「諸君も知っているじゃろうが七夕とは織姫と彦星が1年に1回だけ会える特別な日じゃ」



生徒達は何を当たり前の事を言っているのだろうという顔で学園長の話を聞く



「そこで、諸君にはあの山の頂上まで競争して貰う」

「学園長!!勝ったら何かご褒美貰えますか!!??」



大勢の生徒の中から聞こえる声

誰と言わなくても解るだろう



「もちろんじゃ」



きり丸の問いに学園長はにやりと笑う



「どーせ学園長のフィギュアとかそんなもんだろ」

「文次郎、あまり大きな声出すと聞こえちゃうよ」



心底面倒くさそうに呟く文次郎を伊作がなだめる



「実はあの山の頂上に大層大きな笹があるんじゃ」



学園長は山を指差しながら言う



「そしてその笹の下では、現在が織姫の格好をして皆を待っておる」





その名を聞いて生徒達は一瞬にして黙り込み、急に真剣な顔つきになった



「そこで諸君には彦星の格好をして山の頂上を目指して貰う。頂上では織姫の格好をしたと美味しいご飯が待っておるぞ」



学園長の言葉に、生徒達は益々ざわつく



「学園長、彦星の格好とは一体どう言う事ですか?」



手を挙げそう質問するのは滝夜叉丸

既にやる気満々の様だ



「それは……これじゃ!!」



学園長が後ろにあった白い布を一気に剥ぎ取ると、そこには紺色を基調とした随分と動き難そうな服がずらりと並んでいた



「何時の間にこんな物を…」

「学園長ってこう言う事には本当に力注ぐよな」



喜八郎と三木ヱ門が滝夜叉丸の後ろで呆れた様に呟く



「因みに今回のマラソンは参加したくなければ不参加でも構わない、自分の好きな方を選ぶんじゃな」



そう言って学園長はにやりと笑った



「どうしよう…参加するべきかな……でも6年生相手じゃ敵わないかもしれないし……でもさんが……織姫…」

「おい雷蔵、何悩んでるんだよ、行くに決まってるだろ?織姫姿のさんを見られるだけでも十分参加する価値はある!!」

「三郎……、そうだね、良し、参加しよう!!」



5年生の鉢屋&不破は同じ顔で同じポーズを取り意気込んでいる



「学園長……が絡んでいれば不参加の者など出ないと知っていて直、不参加でも良いとはな……」

「……文句を言っても仕方ない…」

「そんな事良いから早くスタートしないのかな、せんちゃんも長次ももちろん参加するんでしょ?」



不敵に呟く仙蔵と仕方無いとは言いつつ結構やる気の長次

加えて最初から参加する気満々の小平太が明るく笑う



「良し、参加者は大体決まったようじゃな……」



学園長は満足そうに笑う



「それでは各自着替えてからスタートじゃ!!!」



学園長の叫びと共にヘムヘムが太鼓を鳴らした

皆その音を合図に一斉に彦星の衣装へと身を包む



「うわぁ、結構複雑だね」

「これ高く売れそうだな」

「着方わかんないよ〜」



こちらは周りの空気に流されて参加を決定した1年は組の3人組み



「なぁ三郎次……」

「何だ?」

「6年生や5年生にまじって参加って無茶じゃないか?」

「何言ってるんだ、参加する事に意味があるんだろ?」



こちらは1年は組に負けていられないと意気込む三郎次につき合わされている左近の2年生ペア



「さぁじゅんこ、僕達も頑張ろうね!!」

「伊賀崎…じゅんこに衣装着せるのやめろよ……」

「ふふ…織姫姿のさんかぁ……きっと美しいんだろうなぁ〜」

「何をもたもたしてるんだ!!遅れを取るのは男らしくない!!さぁ行くぞ!!」



こちらは相変わらずバラバラな孫兵、次屋、浦風、左門の3年生4人組



「ふっ…この私が着れば安っぽいこの衣装も高級感溢れる物になってしまうな……」

「馬鹿言ってないでさっさと行くぞ」

「ていうか何で学年対抗なんだろう…」



こちらいつも通り仲の悪そうな滝夜叉丸と三木ヱ門に無関心の喜八郎の4年生3人




「雷蔵…何やってるんだ?」

「いや、やっぱり不安になって来て……」

「良いから行くぞ、ほら」



こちら5年生のペアもまぁいつも通り



「なぁ、お前彦星より織姫の方が良いんじゃねぇ?」

「死にたいのか貴様」

「あ、でもせんちゃんならきっと似合うよ〜」

「あ……この衣装破れてる………」

「…新しいのを借りてくるんだな……」



こちらは優勝候補の6年生、相変わらず賑やかだ











そんなこんなで各6組が参加する事と相成ったこのマラソン

頂上で待つが微笑むのはどのチームだろうか…?



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