「あら、ちょっと見てよあの人、結構良い線行ってない?」

「何言ってんの紅印、あんな男より絶対その隣のカップルの女の子の方が良いって」



人様を勝手な価値観で値踏みして暇潰しをする男と女の声

その人の知らない所で容姿について勝手に盛り上がるのは別に別に珍しい事じゃ無い

誰だって1度や2度はすれ違う人についてあれこれ話し合った覚えがあるハズだ

しかし今回の会話は普通とはちょっと勝手が違う

何故なら男の値踏みをしているのが男である中宮紅印で、

女の値踏みをしているのが女であるだからだ

紅印は体は男で心は女と言う、まぁいわゆる世間一般で言う"オカマ"というもので

は体は女で心も女なんだけど女の子大好きという、実に分類し難い人間であった










NeutraL










「ねぇねぇ、あの子ちょっとメイクがキツ過ぎない?」

「いやいや、今時の子はみんなあんなモンだよ?」

「でもあんなに濃いんじゃ顔がお化粧に完璧に負けちゃってて本来の魅力が激減よねぇ」



紅印は片手を頬に当てふぅとため息を付く

はそんな紅印の横で苦笑しながら言う



「紅印のチェックは相変わらず手厳しいね」



にそんな事を言われて紅印は首を傾げながら訪ねる



「あらそぉ?男は逞しく漢らしく、女は清楚に美しく、これこそがあるべき姿じゃなくて?」

「だったらアンタは何なのよ」

「あら、アタシはどちらも兼ね備えたスペシャルな人間じゃない」

「はいはい、…それにしても暇だねぇ」

「そうねぇ…」



紅印とは同時にため息を付く

2人は今日他校を偵察に来ていたのだが、大した収穫が無さそうなので早々に切り上げる事にした

しかし早く切り上げ過ぎて学校に戻るに戻れないのでこうして街中の一角に腰を落ち着けて人物採点に興じている訳だ



「どこかに良い男居ないかしらねぇ…」



ふと呟いた紅印の台詞を聞いてが訪ねる



「紅印ってどんな男が趣味なの?」

「そうねぇ…、やっぱり逞しくて頼れるって感じの人かしら…」

「でも筋肉マッチョメンは嫌なんだよね?」

「当たり前じゃない、頭の悪い筋肉ダルマは勘弁だわ」



の言葉に大きく頷きながら紅印は言う



「そう言うはどんな子が好みなのよ?」

「ちょっと、紅印と一緒にしないでよね?私は女の子も好きだけど一応男だってちゃんと好きな人居るんだから」

「あら、そんな事言ったら私だってどっちもOKよ?」



紅印が弁解する様に告げるとは少々動きを止めてその後すぐに笑った



「なんだ、揃いも揃ってミーハーなだけか、私達」

「そうみたいね」



紅印もと同じ様に笑う



「やっぱり人間美しくなきゃ駄目よねぇ」

「うんうん」

「でも美しいって言っても外見だけじゃ駄目」

「そりゃそうだね」



は首を縦に振りながら紅印の言葉に同調する



「でも残念な事に外見も中身もアタシ好みの男って中々居ないのよね…」

「然も好みなだけじゃなくて紅印の事好きになってくれなきゃだもんねぇ」

「そうなのよぉ、それってかなり確率低いじゃない?」

「うん、砂漠の米粒だね」

「そこまで言う?」

「だってそうでしょ、実際」

「まぁねぇ…」



紅印は目を伏せてまた1つため息を付いた



「そう言えばさっき好きな男の人が居るって言ったわよねぇ?」

「ん?言ったっけ?」

「言ったわよ、しっかりバッチリこの耳で聞いたわ」



紅印は少しとんがった自分の耳を人差し指でつんと指す



「私達の仲なんだから教えてくれても良いわよねぇ?」



紅印は組んだ両手を少々斜めにし、興味深々と言った感じで目を輝かせてに訪ねる



「な、何でそうなるかな」

「だって水臭いじゃない、今まで色んな事話して来たけど、アタシの恋愛話は聞いた事無かったわ」

「そうだっけ〜?」

「そうよっ!!さぁさぁこの紅印御姐様に話してみなさい?ねっ?」



渋るの手を握り締めながら紅印は如何にも楽しそうに迫る



「紅印、私で暇潰ししようとしてるでしょ」

「そんな事無いわよ嫌ぁねぇ」

「声上ずってるよ姐さん」

「まぁまぁ気にしないの、さぁスパっと吐いちゃいなさいな」

「……………解ったよ、言えば良いんでしょ言えば」



はとうとう紅印の押しに観念したのかため息混じりに呟いた



「私ってさぁ、男も女も好きなのよ、本当に」

「ん?私も似た様なモンだから気持ちは解るわよ、でもそれが何か関係あるの?」

「うん…、でね? 男も女も好きだからなのかな、好きになった人が男でも女でもある人だったの」

「何だか言ってる意味が良く理解出来ないわ」



の言葉に紅印は首を傾げる



「その人外見は一応男なんだけどさ、考え方とかは丸っきり女の子なの」

「………ふぅん?」

「それでね、性格も付き合い易くてサッパリしてて妙に姐御肌で…、その癖時々本当に格好良くて」

「………ん?」

「野球やってる時なんか逞しいのにしなやかで綺麗で、いつも見る度にため息が出ちゃう…」

「………」

「でも、やっぱり私にはちょっとレベルが高過ぎるみたいなんだけどね」



呆気に取られた様な顔でを見つめる紅印を目を見て、は悪戯っぽく笑った



「これで満足?」

「…ねぇ……1つ…聞いて良いかしら?」

「何?」

「その…の好きな人って…、双子の弟が居たり…する?」

「うん、女好きの弟が1人居るよ」



紅印の質問にはごく普通に答える

すると紅印はの言葉を聞くなり盛大にため息をついた



「どうしたの?」

「どうしたのじゃ無いわよ…」



紅印は両手で顔を覆い俯いて力無く呟く



「…迷惑……だったかな」



はそんな紅印を見て小さな声で訪ねた

すると紅印は顔を上げ、隣に腰掛けているの肩にもたれかかった



「迷惑な訳ないじゃない…むしろ嬉しすぎてもうどうしたら良いか解らない状態よ」

「…本当……に…?」

「この状況で嘘はつけないわ…」

「でも…じゃぁなんでそんなに疲れきった顔してるの…?」



は自分の左肩に頭を乗せている紅印の顔を覗き込みながら訪ねる

紅印はそんなの視線から目を逸らす



「アタシがさっき言った言葉…覚えてる?」

「さっき?さっきっていつ?」

「好みの男が…中々居ないってやつ」

「あぁうん、覚えてるよ、砂漠の米粒でしょ」

「えぇ…、それで好みの男は居ないけど…好みの女なら居るって言おうとしたのよ…本当は…」



紅印は目を伏せての肩に体重を預けっ放しのまま続ける



「でもがその前に好きな男が居るなんて言うモンだから…」

「気になっちゃって言えなかった?」

「そうよ、下手に告白して振られても嫌じゃない」

「でも、私は紅印が好きだよ?」



がそう言うと紅印はまた一つ盛大にため息を付きながら話す



「だからびっくりしたんじゃない、てっきり違う男の名前が出てくると思ったのに…」

「そんな事言われても…」

「本当はアタシの方からちゃんと伝えたかったわ、の事大好きよ、って…」

「紅印…」



そう言うと紅印は伏せていた目を開きの肩から頭を起こし、しっかりと向き合った



「でも良かったわ」

「何が?」



の両手を握ってにっこり微笑む紅印には首を傾げる



「だから、外見も中身もアタシ好みで、その上こんなアタシを好きって言ってくれた人がで、って事よ」

「…何か凄く恥ずかしい……」

「あらやだ、さっきアタシ以上に恥ずかしい事ベラベラ喋ってたじゃない」

「あ、あれはもうヤケクソってやつで…」

「ふふ…、そんな所も可愛いわよ」

「もう、紅印の意地悪…」



は頬を膨らませて横を向く

紅印はくすくすと笑いながらそんなの耳元に顔を寄せ、いつもより低めの声で囁いた










「大好きよ、もう絶対離さない」










- END -




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カマキャラが格段に好きって訳ではないけれど、紅印御姐様は格別に好きです…

ジャンプは買ってないので単行本を買った時に惚れました…

そして一度封印したミスフルDreamまで再開してしまう程惚れ込んでしまった私…

あぁ…姐様にちゃん付けで呼ばれて髪の毛を梳いて頂きたい…!!(末期

そして時にはメイクを落とした男らしい姿を見せて頂きたい…

男でも女でも良い、兎に角紅印様ラヴです","*:.。..。.:*・゚(n*´∀`)η゚・

所でセブンブリッジが男子校なのを見事に無視ったなコレ(笑

良し、今日から七橋は共学です!!(をぃ



'05,08/10