鎖骨の窪みを飾る 錆びた鎖の冷たさ

交わる唾液は 血の味が滲む










「……っ」



少女は口内に広がる鉄の味を否応なしに味わいながら、ぼやける目を擦る事も出来ずため息をついた

別に殴られた訳ではない

逆さ吊りの状態で話そうとしたら誤って舌を噛んでしまったのだ

少し情けない気持ちになりながら目の前を見つめる

広がる闇の中異質に浮かび上がったのは奇術師の姿

自分をあっと言う間すらなく連れて来た人物だ










その目瞬きは死の岸辺

逆さづりに映る私は地獄の天使










「血出てるけど、大丈夫かい?」



無機質な鎖で縛られ吊るされた少女にヒソカは楽しそうな笑みを浮かべて問いかけた



「…口内噛んだ事より…、この状況が大丈夫じゃない…かな……」



逆さに吊られたままの状態では辛いのも当然

しかし少女は見た目の状況とは反して割と平然と答えてみせた


「いいねぇその姿……、滑稽だけどとっても綺麗だ、そそられるよ…」



ヒソカは恍惚にも似た表情で少女を見つめる



「その褒められ方はあんまり嬉しくないわ…」



少女は口から流れ落ちる血を吐き出しながら小さく笑った










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狩りに出ましょう満ちた月の エデンの森は放し飼い

舌を垂らした犬のように 深い葉翳も嗅ぎ廻る










それはつい先刻の話

やっとの思いで自宅という名の鳥籠を抜け出した少女は必死で家から遠ざかろうと走っていた

そしてようやく家が見えなくなったかどうかと言う所で、突然何者かに連れ去られたのだ

その何者かというのがヒソカであり、訳も解らず攫われた少女は今こうして鎖で縛られてヒソカの前に吊るされている



「あんな場所を無防備に歩いているんだから…、文句は言えないよねぇ?」



目の前で吊られたまま自分を見据える少女の目線までしゃがみ込んで尋ねると、少女は困惑した顔で答えた



「あんな場所って言われても…、自分の家のすぐ近所よ……?」

「そうだねぇ…、でも君は窮屈だろうが君を守っていた籠を出てしまった…、それはつまり狩りの対象になっても仕方の無い事なのさ」

「"なのさ"って言われても…、…………そう言えば、彼方、誰なの?」



捕えた少女を前に満足そうなヒソカにふと少女は尋ねた

一瞬ヒソカは不思議そうな顔して、そして笑い出した



「今更ソレを聞くのかい?本当に面白い人だねぇ君は…」

「だって尋ねる暇すら与えずに連れて来たのは彼方でしょう…?逆さ吊りにされてるせいか、頭がハッキリ働かないのよ」



愉快そうに微笑むヒソカを前に少女は驚く程冷静に答えている

その目には特に恐怖は見えない

あまりにも異常な事態であると言うのに少女は実に落ち着いている



「なるほど…、それじゃ逆さに吊るすのだけは止めてあげるよ」



ヒソカは納得したかの様な素振りを見せると片手を挙げた

途端に少女を宙へ留めていた鎖が千切れ少女はそのまま地面へと落下する



「ひゃっ!?」



急に視界が急降下した事への驚きに少女が短い悲鳴を上げる

しかし少女の体が地面へ到達する事はなかった



「まさか、そのまま落としたりはしないさ」



少女は手足を未だ鎖で縛られたままの姿でヒソカの腕の中に収まっている



「………お礼を…言うべき状況では無いわよね、誘拐された身だもの…」



優しく抱き込まれたまま一瞬お礼を述べそうになった自分を諭すかのように少女は呟く



「誘拐?違うよ…、僕は君を狩ったのさ」



すると少女の身体をそっと地面へ降ろしたヒソカは地面に膝をつき少女の顎を片手で軽く持ち上げて笑った



「僕の名前はヒソカ…、君はもう逃げられないよ」



ヒソカはそう耳元で囁くと、抵抗すらせずじっと自分を見つめる少女を嬉しそうに見下ろした










さあどうぞ

心臓へ

投げ込まれた獲物










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夢と霞を食べて 生きている訳じゃない

厳かな愛撫が なぞりゆく道筋










「で…、君の名前は何だい?」



ヒソカは少女の頬を撫でながら尋ねる

少女はヒソカと名乗った不思議な男を怪訝そうに見つめると小さな声でその問いに答えた





ね…、………どうして僕が君を狩ったのかが聞きたいかい…?」



の名前を脳裏に刻んだヒソカはの頬から肩へ、肩から腕へ、腕から腰へと、その手を妖しく移動させながら笑みを浮かべた



「それはまぁ…、気になると言えば気になるし……今更どうでも良いと言えばどうでも良いわね…」

「そう、それじゃぁ言うのはやめよう」

「えぇ、別に構わないわ」



の答えに意地悪な笑みを貼り付けたまま、ヒソカは答えをはぐらかしてしまう

しかしは然程気にした様子も無くため息混じりにヒソカの意地悪を承諾してしまった

これでヒソカが不満がるかと思えばそうでも無く、

目の奥で一層楽しそうに笑うと今まで動かしていた手を止め、ある物を一瞬の内に取り出した



「何それ…、壜? 何に使うつもり…?」



ヒソカがまるで魔法でも使ったかの様に取り出したのは小さな小壜

がその壜を不思議そうに見つめて尋ねたが、ヒソカは答えずその壜の中の液体を素早くの口元にあてがった



「へっ…!?」



突然の行動と得体の知れない液体への疑念とでは咄嗟に顔を背けた

そして自由の利かない手足を動かし何とか壜を遠ざけようとするが、そんな事が許される筈もない



「…んっ……んぅ…」



押さえ付けられ口内に流れ込む透明の液体の感触がの脳を支配する

どうにか逃げようと身を捩ってはみるが所詮囚われの身

結局液体を全て飲み込んでしまったは嫌な予感と共にヒソカを睨み付けた



「何を…、飲ませたの……?」



は初めて反抗的な視線でヒソカを睨み付けた

飲まされた物がただの水で無い事は感覚で解る

舌に触れた瞬間に身体の奥で何かが弾けた様な気がしたのだ



「君…、念って知ってるかい?」

「…?知らないわ……」



ヒソカはの問いに答える前に別の質問を投げかけた

は律儀にもその質問に答える



「っ…、ぁ…熱い……」

「薬が効いてきたみたいだねぇ…」

「だから…、その薬って……一体何、の……?」



ほどなくして悶え始めたを鑑賞しながらヒソカは満足そうに答えた



「念のねの字も知らない人間にでも無理矢理念能力を開花させる薬さ」

「…っ訳、解らない……」

「うん、解らないだろうねぇ?でも君の体は順調に目覚めようとしてるよ…」



そう言ってヒソカは落とした反動で割れてしまった壜の破片を拾い上げ、の頬を優しく斬り付けた










薬壜の割れた破片で

明日を繋ぎ続ける君は 毛皮の男娼










「痛っ…」

「痛くない…、でしょ?」

「え…?」



鋭く光る破片で確かに頬を斬られた筈なのにの頬には傷一つ付いていない



「何、で…?」

「"目覚めた"からさ…」

「目覚めた…?その、念って物に……?」

「そう、感じるだろう?」



ヒソカはに説き伏せる様に話し掛けると自分の念を放出させた



「僕の周りに何が見える?」

「…何か……紫色の…モヤモヤ……」

「うん、正解、いいねぇ、やっぱり僕の見込んだ通りだ……」



の答えに一人満足そうに頷くとヒソカはの手足を縛っている鎖を解いた



「でも君、このままだと死んじゃうよ」

「え…?」

「君の念を引き出したからね、このまま垂れ流しっ放しだと衰弱して死んじゃうんだよ」

「ど、すれば…いい……のよ…」



何の準備も無く無理矢理に開放されたは目に見えて弱ってゆく

念を自分の身体の回りに定着させる方法すら聞かされていないのだから当然と言えば当然だが



「簡単な話だよ、留めれば良いのさ」

「だから…何を…っ、どうやって…」



念とは全く関係の無い世界で生きていたは段々と自分の身体が弱って行くのを感じて焦り始めていた

目の前の男が何を言っているのかは解らない

しかし自分の身体は明らかに死へと向かっている



「知りたいかい?」

「当たり前、でしょ…?こんな所…で、死ぬのは……嫌…」

「へぇ…、あのちっぽけな鳥籠の中に居るよりもかい?」

「………っ」










弓で射るのは毒の林檎 一口齧るその前に

羽根の砕けた鳥のように 花の褥で空を見よう










生きたいと望むに向かいヒソカは実に意地悪な笑みを浮かべて問い掛けた

ヒソカの問いにの顔は一瞬引きつる



「彼方…、私の事、何処まで……、知ってるの…?」

「全然知らないさ…、生まれてから外へ出る事を一切許されずあの檻の様な家で緩やかに死ぬのを待っていた事意外は、ね…」

「鳥籠って…、私は……鳥、じゃない……わよ…」

「そうかい?後は…、そうだねぇ…、毎晩君が祈る様に窓から外を眺めていた事とか…?」

「物凄く…知ってるじゃないの…ストーカー……みたい…」



そろそろ本格的に苦しいのかの息は絶え絶えになってきている

折角手足は開放されたと言うのに一歩もその場から動けず苦しそうに喘いでいる



「失礼だなぁ、偶然見かけただけさ、そして君ならいけるんじゃないかと思ってね…」

「いけるって…、何、が…」

「この薬に勝てるんじゃないかって思ったって事さ、それより良いのかい?このままだと本当に君死んじゃうけど」

「だから…っ、教えてって言ってる、でしょ…」

「あぁそうだったねぇ、ごめんごめん」



ヒソカはそう言って業とらしく謝って見せると口元に笑みを浮かべたままに教え始めた



「"身体から出る湯気を自分の身体の回りに留める感覚"かな…、これで解らなきゃ僕はもう知らない」

「自分の勝手で人の身体を侵しておいて…、酷い言い草ね……」

「仕返しがしたいなら生きてみなよ…、そしたら文句はちゃんと聞いてあげるさ」



ぐったりと倒れたまま皮肉を口にするにそんな言葉を投げ掛けると、ヒソカはジョーカーのトランプを取り出して小さく笑うのだった










どう如何?

絶望に

魅入られた夜明けは










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盛りの季節はすぐに過ぎて どんな泉も枯渇する

愛を失くして誰もみんな 骨まで老いて土になる










「うん、上出来だ」

「煩い…わよ……」



たった一言の短い説明を何とか飲み込み、垂れ流れていた念をどうにか体内に留める事に成功したはヒソカを睨み付ける



「でもまさか念を全て体内に仕舞い込むなんてね…、予想以上だよ」

「彼方が留めろって言うからそうしただけよ…」

「まぁ何でも良いんだけどね、これから知っていけば良いし」

「…もう、訳解らないわ……」



先刻から微妙にズレて行く会話に嫌気が差したのかは大きくため息をついてその場に倒れ込んだ



「ちゃんと説明してよ…、解らない事だらけで頭痛いの……」



が片腕で頭を抱えながらそう請うと、ヒソカは倒れ込んだを片腕で抱き上げた



「いいよ、答えてあげる、僕は今とっても気分が良いからね」

「…色々……聞きたい事はあるけど……、まず、この体勢は、何」

「ん?」

「だから、何で私は彼方に抱かれてるの」

「逃げないようにさ、鎖はさっき外しちゃったし…、今の君はその気になればいつでも逃げ出せる力を手に入れたからねぇ」



ヒソカは飄々と答えるとの身体を後ろからしっかりと抱き留めたまま尋ねた



「さ、次の質問は?」

「………まぁ良いわ、まず最初に聞きたいのは…いつ、私を知ったの?」

「うーん、丁度1年前位かな、狩りの途中で見掛けたんだ」

「二つ目、狩りって…何」

「狩りは狩りだよ、何って言われても困るねぇ」



そう答える背後のヒソカを呆れた目で見つめると、は諦めた様にうな垂れた



「質問を代えるわ、"狩り"の対象は、何?」

「察しているとは思うけど、"人"だよ」



が別の形でそう尋ねるとヒソカを纏う気配が一寸変化をみせた

しかしはその変化に気付いてはいるものの態度を変えようとはしない



「その目的は?」

「実験」

「今私に飲ませた薬の?」

「あぁ、そうだよ」



そんなの強気な態度が御気に召したのかヒソカは殺気と嬉笑を浮かべながら答えて行く



「実験の成功例は…?」

「君が始めてさ」

「失敗したらどうなるの?」

「死んじゃうね」

「…1年前から続けてて私が始めての成功って……確率低くない…?」

「毎日試してた訳じゃないからねぇ…、それとも君の前に犠牲になった人数が知りたいかい?」

「別に…、そんな事どうだって良いわよ…」

「そうかい…、それじゃぁ他に聞きたい事があるのかい?」

「あるわよ、いっぱい、ただ整理付かないだけ」



楽しそうなヒソカとは対照的には難しそうな表情を浮かべて色々な事を考えているようだった

ヒソカと言えばのそんな姿を楽しそうに眺めている

そして暫しの沈黙の後、は質問の続きを再開し始めた



「結局、この薬の効力は何?」

「言った通り、一般人に念を無理矢理植え付ける薬だよ」

「念については…聞いても理解出来ないと思うからこの際気にしないとして…、その念を植え付けてどうする気だったの?」

「そうだねぇ…、別にどうする気も無かったな、ただの好奇心ってやつさ」

「…その好奇心で殺されそうになったのね、私」

「いいじゃないか、生きてたんだから」

「それは結果論でしょ…」



呆れる隙すら与えて貰えぬ問答には必死に頭を働かせる



「で、残念ながら成功第一号になってしまった私を彼方はこれからどうするつもり?」

「う〜ん…、どうしようねぇ?」



ヒソカは全然考えている素振りを見せずにに聞き返す

に到ってはそろそろヒソカの性格を掴んで来た様で、ため息と共に首を振った



「まぁそれは後で考えるとして、次は僕が質問する番」

「…別に構わないけど……」



思っても見なかったヒソカの言葉に一瞬戸惑いながらもはその質問を承諾した



「どうして君に薬が効いたか解るかい?」

「解らないわよ」

「それじゃぁ質問を代えよう、…君は毎晩何を祈ってたんだい?」

「………ぇ?」

「羨ましそうに鳥を眺めて、恨めしそうに外を眺めて、祈る様に月を見上げて…」

「……何でそんな事まで知ってるの…」

「来る日も来る日も逃げ出す事の出来ない家の中で外に憧れ続けてたよねぇ」

「………」

「外に出ればどんな危険があるのかなんて全く考えもせずに…、ね」

「そうね…、全然考えてなかったわよ、外に出た途端にこんな変態に捕まるだなんて……」



一瞬押し黙ってしまっただったが、次の瞬間ヒソカの腕を跳ね除け強く叫んだ



「でも、でも!!外の世界を知らないまま…、あんな家の中で一生を終えるのは絶対に嫌だったのよ!!だからっ…」

「だから…"此の背に翼が生えて飛んで行けますように"、かい?」

「!?どうして…?」

「何となく…、君みたいな箱入り、いや、籠入りのお嬢様の考えそうな事なんてね」



わざわざ皮肉っぽく言葉を言い換えるヒソカを、は黙ったまま見上げている



「だからこそ思ったんだよ、君ならきっと効くんじゃないかって…」

「だから、の意味が解らないわよ…」

「君程強い意志を持っているならそう簡単には死ななさそうだろ?」



ヒソカはに同意を求めると、一歩に近づいた



「そして君は手に入れたのさ」

「手に…?」

「そう、翼をね」

「翼なんて…何処にも……」

「あるさ、僕の性格別オーラ診断によると君は具現化系だからね」

「……ぐげんか、けい?」



また一つ解らない単語が出て来た事では首を傾げる

するとヒソカはもう一歩に近づく



「イメージしてごらん、その背中に翼を…、強く、具体的に、出来るだろう?毎日鳥を眺めていた君なら…」

「私の…背中に、鳥の羽……」

「そう、何処へでも飛んで行ける翼さ」



そう言いながらヒソカは更にに一歩近づいて行く

はヒソカの言葉通り自らの背に翼を思い描く為に目を伏せた



「凄いね、本当に完成させちゃうなんて」

「え?」

「見てご覧よ、自分の姿を」



そんなヒソカの言葉で目を開いたが見たのはヒソカの持つ手鏡に映った自分の姿



「うゎ、本当に浮いてる……!?嘘…みたい……」



見事に翼の生えた自分の姿を呆然と見つめながらは呟く



「もちろん浮く事も飛ぶ事も可能さ、具現化した物は本物と変わらないからね」

「凄い…」

「良かったねぇ願いが叶って………、さて、それじゃぁここで君に最後の質問をしよう」

「最後の質問?」



具現化させた背中の翼で宙に浮きながら、今までの事なんて忘れてしまったかの様に喜ぶにヒソカは人差し指を立てて問い掛けた



「僕について来るか、此処で死ぬか…、さぁ、どっちが良い?」

「…どういう事……?」

「僕と一緒に狩りに出るか、此処で僕に殺されるか、どっちが良いか聞いてるんだよ」

「そっか…、このまま開放してくれる訳無いものね……」



はヒソカの出した二択に苦笑を浮かべる



「当然だよ…、初めての成功例だし、何より君には才能もあるみたいだからね」

「才能…ねぇ……」

「でも君が嫌だと言うなら仕方ないからね、死んで貰うよ」



そう言うとヒソカは一枚のトランプを取り出しての頬にあてがった

ヒソカの念によって鋭利な刃物と化したトランプはの頬に一筋の傷を付ける

は動じずヒソカを見上げていたが、やがて小さくため息を付いた




「…その二択って、あまりにも無意味よね」

「どうしてだい?」

「だって、彼方は私が心の底から外に出たがっていた私を知っているのに…」



そう責める様に呟きヒソカを見つめると、は苦笑した



「答えは明白…、ヒソカ、彼方について行くわ」

「それは良かった…」



が答えると、ヒソカは満足そうに頷いて片腕を差し出した










狩りに出ましょう満ちた月の エデンの森は放し飼い

舌を垂らした犬のように 暗い葉翳も舐め回す










「それじゃぁ行こうか…、外の世界に」



そう言って差し伸べられたヒソカの手をはじっと見つめている



この手を取ったら最後、もう日常へは戻れない

否、元々日常等退屈で不条理な物でしか無かったのだから戻る必要なんて無い

でも、それでも、人を簡単に殺める様なこの男に本当について行って良いのだろうか…?

そんな思いが一瞬の内にの脳裏を駆け巡ったが、やがてはヒソカの手を取った










さあどうぞ

心臓へ

投げ込まれた獲物










「行ってやろうじゃない…、どんな世界にでも……ね…」










もういいわ

絶望に

彩られた希望…










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ヒソカが素敵に無敵な変態さんで明華的に大ヒットです。

うん、今更なのは解ってるんですけどね。

でもやっぱりいつも好きになるキャラって決まってて、主人公のライバルとか天邪鬼とかひねくれ者が多い。

更に意地っ張りだけど実は人情家だったりするともう決まってメロメロですね。

後はつり目を好む傾向にあったり。

で、まぁ大体がそんなキャラに傾く訳ですが、たまに紅印とかクーガーとかヒソカとかの変態キャラに心が持って行かれます。

変態キャラ、良いですよね★

私の書くヒソカは大分甘ったるいですね、本来はもっと底の知れない野郎だとは思うのですが…。

でも無駄に絶望チックなのって嫌いだからまぁこれで良し。

そして今回歌詞Dreamに引用したのはALIPROJECTの密猟区でした。

ぴったり過ぎて初めて聞いた次の瞬間に書き始めてましたよ(笑

細かい背景はまぁ無視して雰囲気で読み流して下さい…って、読む前に言わなきゃ意味ないか…



'06/09/10