「……?」

「どうした杏里?」

「ぃえ、あの、手紙が…」

「手紙?下駄箱に入ってたの?」

「はい」

「何だ何だー?今時ラブなレターってやつかぁ?」

「正臣ってばからかったら駄目だよ、園原さんに手紙返してあげなって」

「ほーいほい。杏里、折角だし今読んでみろよ」

「いやいやそんな野次馬根性丸出しな…」

「…解りました」

「あれだぞ、本当にラブラブレターだった場合は見せなくて良いからな」

「はい…」

「………」

「………」

「………」





「な、何だった…?」

「ぇっと、これ…」

「読んでいいのか?えー、何々?園原さんへ…」



園原さんへ

唐突でごめんなさい。

お話したい事があるので、明日の放課後15時に裏庭に来てくれませんか?

待ってます。

                         



「…園原さん、さんって知ってる子?」

「いいえ、知らないです…」

「俺は知ってるぞ、確かF組の子だ」

「正臣知り合いなの?」

「いーや。可愛い子は全クラスチェック済みってだけ」

「流石正臣…。でも何の用なんだろう、まさか果たし状…!?」

「いやいや、さんはスレンダーで笑顔のキュートな素敵女子だぞ。そんな真似しないだろー」

「でもわざわざ下駄箱に手紙入れて呼び出すって…」

「まぁ本人に聞いてみない事には解んないよなぁ」

「園原さんどうするの?」

「そうですね…。とりあえず行って見ようと思います」

「そっか。…あの、もし何かあったらすぐメールとかで連絡してね」

さんに限ってまさかいじめとかじゃ無いとは思うけど、まぁ携帯はちゃんと持ってくんだぞ」

「はい、有難う御座います」

「そんじゃぁまぁ今日は帰るか」

「そうだね、園原さん行こう」

「はい」



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「ぁの…、さん…ですか?」

「あ、来てくれたんだね!?有難う園原さん!!」

「いえ…」

「何か急に呼び出しちゃってごめんね、あんまり面識無いのに…」

「大丈夫です。それで、私に何かご用でしょうか…」

「えっと…、うん。その、用って言うか…」

「……ぅー…あの…」

「………」

「………?」

「っあのね!!引かないで聞いて欲しいんだけど…」

「はい…」










「どうやったら私も園原さんみたいに大きな胸になれるかな!?」










「ぇ?ぁ、あの……?」

「お願い園原さん!!食生活とか生活サイクルとか特別な体操とか何かあるなら教えて欲しいの!!」

「ぃぇ…、私はそんな特別な事は何も…」

「何も!?何もしてないのにこの胸なの!?このスタイルなの!?!?」

「あの…」

「羨ましい…!!神様って不公平過ぎる…!!!!こんな可愛くてスタイル良くて胸が大きいとか勝ち組にも程が…!!!!」



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「(ぉー…、杏里の奴テンパってますなぁ)」

「(正臣〜、やっぱり良くないよ、覗き見なんて…)」

「(何言ってんだ帝人、もし本当に危険な時に颯爽と現れられないヒーローはヒーロー失格だぞ?)」

「(いや、ヒーローは覗いたりしないでしょ)」

「(まぁそんな細かい事はさておきだ。さんってあんなキャラだったんだなー…)」

「(何かちょっと…正臣に似てるよね……、ノリが)」

「(そうかぁ?まぁテンションの高さはに確かにシンパシーを感じるな)」

「(うん…、園原さんの困惑っぷりも正臣と居る時ソックリだもん…)」

「(何気に酷いな、俺は今深く傷ついたぞ帝人)」

「(ぇ、でもホントの事だし…)」

「(まだ言うか!?…いやぁ、これはもう杏里のふくよかな胸で癒して貰うしか無いなぁ)」

「(はっ!?何言ってるのさ!?)」

「(はいはい煩いぞ純情ボーイ。二人に気付かれちゃうだろ)」

「(………)」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「私ってさ、見ての通り…何て言うかその…、スリムでしょ?特にこの辺が」

「………」

「別にFとかGとかそんな高望みはしてないの。でもせめて…、せめてBかC位はあっても良いと思うんだ」

「はぁ…」

「だから校内のこの辺が豊かな子に色々アドバイス貰おうと思ってこうして話を聞いてるんだけど、皆決まって特に何もしてないって言うんだよね!!」

「そう…、なんですか…」

「まぁ仕方ないとは思ってるんだけどさぁ。…ぁ、ところで園原さん今から時間ある?」

「時間ですか?ありますけど…」

「じゃぁ一緒に帰りがてら駅前でお茶しよ!!急に呼び出して変な事聞いちゃったお詫びに奢っちゃうよ」

「いえそんな、気にしないで下さい」

「あれ?行きたくない?」

「そう言う訳では無いですけど…」

「だったら行こ?私前から園原さんと話してみたいなって思ってたんだ。ぁ、もちろん胸の事だけじゃないよ?」

「私と、ですか?」

「うん、体育の時に一緒になるでしょ?その時にスタイル良いし運動神経も良いし凄いなーって思ってて…って、これじゃやっぱり私身体目当ての変態みたいだよね!?」

「ふふ…、ぁ、すいません。それじゃぁあの、行きましょうか」

「良いの?」

「はい。私もさんのお話もっと聞きたいです」

「本当!?嬉しいなぁ、それじゃ早速行こう行こう!!」

「はい」



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「行ったか…」

「何か園原さんちょっと嬉しそうだったね」

「だな。つーかやっぱり俺の睨んだ通り!!さんは素敵女子だったな!!」

「うん、これなら心配する必要なかったね」

「張間美香が矢霧誠二にベーッタリになっちゃってから杏里ちょっと寂しそうだったしな」

「うん…。でも張間さんだけじゃなくて色んな人と仲良くする方が良いに決まってるよね」

「そりゃそうだな。杏里だってこの先俺達とばっかり一緒に居る訳にはいかないからなぁ」

「で、この後はどうするの?」

「そんなの俺達もこれから偶然帰宅って事で追い掛けるに決まってる」

「言うと思った…」

「杏里の友達は俺達の友達!!…だろ?」

「ぇ?でも別にあの二人ってまだ友達になった訳じゃ…」

「この後なるんだよ。しかも思いっきり仲の良い友達にな。…俺の勘がそう告げているっ!!」

「勘ってまた適当な…」

「つー事で仲良し3人組に新たに1人加わる歴史的瞬間だぞ?俺達が行かないでどうするんだよ、ホラ行くぞ!!」

「行くって…うわっ!?」

「おーいそこの子猫ちゃん達ぃ〜!!!!!」

「ちょっ、待ってよ正臣!!!!」










【3+1】










-END-