はパンダが好きなのか?」



何件かのお店を回り、途中で中華街の中にある公園で休憩しているとセルティがに尋ねた

その視線はが買ったマグカップに注がれている



「そうですね。この間の動物園で本物を見たんですけど、とても格好良かったです」

「ん?可愛いじゃなくて格好良い?」

「はい。遠くから見ると可愛いんですけど、近くで見ると目は鋭くて身体が大きくて、とっても迫力あって格好良いんですよ!!」

「な、なるほど…」

「他の動物も可愛かったり格好良かったりで本当に楽しかったですけど、パンダは色々と興味深くて…」

「そっか、それじゃぁ良い物が買えて良かったね」



本当にパンダが気に入った様子のを微笑ましく思いながらセルティが声を掛けると、元気良く頷いた後に少し不安そうに言葉を続けた



「でも、静雄さんのお土産は別の物の方が良かったですかね…?」



購入したのはマグカップはペアもので、仲良さそうに二つ並ぶそれらを眺めながらは首を傾げる



「可愛かったので思わず買っちゃいましたけど、良く考えるとペアのマグカップって少し図々しい気が…」

「どうして?」

「だって…、普通ペアって夫婦とか恋人同士の物ですよね?」



不安そうな顔でそう尋ねて来るの言葉に、今度はセルティが首を傾けながら尋ねる



は静雄が好きか?」

「はい、大好きです」

「私や新羅の事は?」

「もちろん大好きです」

「静雄の好きと私達の好きは同じ?」

「……違い、ます…」



突然の質問に顔を赤くしながらもそう答えたを見て、セルティはうんうんと頷く



「だったら問題無いよ。静雄だっての事が大好きなんだから」

「ぇ…?」

「ん…?」



納得したように頷くセルティとは対照的に、の動きが止まる



「まさかとは思うが…、静雄の気持ちに気付いてなかったなんて言わないよね?」

「静雄さんの気持ち…?」

「いや、だから、何て言うか…、静雄がの事を好いているって言う……」



まさかの質問にセルティがしどろもどろになって答えると、は顔を赤くしたまま首を左右に振った



「気付いてなかったのか…、あんなに露骨なのに…」

「そう、なんですか?その、静雄さんが優しいのは解ってたんですけど…」

「まぁは静雄の事を最初から知ってる訳じゃないし解らないのも無理無いか…、外の世界に出て間も無いしな」

「はい。好きだと言う気持ちは解るようになったんですけど、恋愛感情はまだ良く解らなくて…」

「でもは静雄が好きなんだよね?」

「……ぇえと…」



は改めて問い掛けられた言葉にハッキリとは答えず、俯いたままぽつりぽつりと語り始めた



「私、静雄さんと居ると落ち着くと言うか、暖かくなると言うか…、何だか幸せな気持ちになるんです。
この間手を繋いでくれた時は恥ずかしくてとってもドキドキしてそのまま離したくなくて…、これが好きって事なのかなって思ってて、
でも今までは静雄さんと一緒に居られるだけで幸せだったのに、最近はそれが苦しくなったりもして、
何だか自分の中の感情が全然コントロール出来なくて、実は今これが好きと言う事なのかも自信が無くなってしまって…」



そう言って不安そうに顔を上げたの頬を優しく突付きながら、セルティは小さく笑った



は可愛いな」

「…?」

「私は人間じゃないけど、と同じ気持ちを経験した事があるよ」

「セルティさんも、ですか…?」

「あぁ。充実感や幸福感はあるけど、同時に嫉妬や不安も湧き上がって色々と複雑だよね」

「はい…」

「でもそれは、それだけが静雄の事を想ってる証拠でもあって、そう言う色々な感情を全部ひっくるめて人間は"愛"と呼ぶんだと思う」

「愛…」



真面目な口調で語るセルティをじっと見つめながら、は愛と言う言葉を反芻する



「静雄も多分、の事を愛してると思うよ」

「そうなんでしょうか…」

「もちろん。そうでなきゃ臨也の奴がを連れ去ろうとした時に助けには来ないよ」

「ぁ…」



セルティに言われて、以前臨也に出会った時の事を思い出す

例え必要とされていなくても、それでも傍に居たい

自分が静雄を好きだと自覚したのは、まさにあの時の事だった



「本当なら私がこんな事を言うのは違うんだろうけど、アイツ奥手っぽいからなぁ…」



高校生の頃から知っている静雄を思い返し、セルティは苦笑気味に呟いた後でに提案をした



「良い機会だから、今日にでも帰ったらの方から伝えてみたらどうかな」

「伝えるって、何をですか?」

が今静雄に対して考えてる事だよ。さっき私に言ってた事を全部そのまま静雄に言えば良い」

「でも…」

「大丈夫、迷惑なんかじゃ無いよ、それは私が保証する。絶対に大丈夫だから」



セルティはの肩に手を乗せて、の不安を払拭するように力強く頷いてみせる



「…そう、ですね……。今までは静雄さんにそう言う事伝えられなかったし…」



そんなセルティの言葉に勇気付けられたのか、も小さく頷きながら両手をぐっと握り締めた



「それじゃぁもう少し見て回ったら帰ろうか」

「はい。ぁ、私肉まんがお土産に欲しいです」

「いいね、私も新羅に買って行ってやろう」



こうして二人は再度中華街の雑踏へと戻って行った



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「あ。ねぇねぇ、あれなんてどうかな?」



東急ハンズの中を歩いていると、ふいに新羅が何かを見つけて駆け寄った



「何だ?」

「これこれ。ちゃんなら似合いそう!!」



そう言って新羅が指差したのは虎の着ぐるみパジャマを着たマネキンだった

他にも色々なアニマル柄が陳列されている棚を見ながら、新羅はあれもこれもと手に取ってみせる



「ぁ、ホラ、パンダ柄もあったよ」

「パジャマねぇ…」



新羅からパンダ柄のパッケージを受け取り、静雄は首を捻る



「こう言うのもアリか…?」

「うん、良いんじゃないかな。ちゃんが着た所を想像してご覧よ、とっても似合うでしょ!?」



新羅のそんな言葉に反応し、静雄は手にしたパジャマを着たを思い浮かべる



「………」

「顔、ちょっとニヤけてるよ」

「……っ」

「まぁでもこれなら毎晩使える物だし、ちゃんも気に入るんじゃないかな?」

「そうだな…、」

「更に僕としては君もこのパジャマを着たらパンダ好きのちゃんはもっと喜ぶんじゃないかと思うんだけどね!!」

「は?」



新羅はにこにこと笑って男性用サイズのパンダ柄パジャマを静雄に差し出す



「むしろ君がパンダでちゃんは猫って言うのもアリだよね!!大熊猫に甘える猫みたいなイメージで!!いやぁちゃん喜ぶだろうなぁ」

「………」

「もしかしたら感激のあまり抱きつかれちゃったりして…!!って、あれ?し、静雄くん…?」

「そうかそうか…、そんなにぶち折られたいんだな!?」

「わー!!違っ!!誤解だよ!?決して僕が見たいからとか面白そうだからとかそんな事で進言している訳じゃなくて!!!!」

「うるせえぇぇぇ!!!!」



青筋を立てた静雄がディスプレイ用のマネキンを片手で担ぎ上げた瞬間、静雄の携帯が着信を告げた



「もしもし」



静雄が何事も無かったかのようにマネキンを下ろし携帯を耳に当てると、電話の相手はだった



『ぁ、静雄さんですか?』

「おぅ、どうした?」

『えと、今からそちらに戻るのでお家に着くのは20時位になりそうです』

「そうか、気をつけろよ」

『はい、セルティさんは安全運転だから大丈夫です』

「ん。そんじゃセルティにもよろしくな」



短めの通話を終え、携帯をポケットにしまう静雄に新羅は恐る恐る尋ねる



「今のってちゃん?」

「あぁ、こっち帰ってくるのは20時位になるってよ」

「そっか、それじゃぁ早い所プレゼント選ばないとだね」



新羅はそう言って辺りに散らばった商品を棚に戻しながら、タイミング良く電話をくれたに心から感謝した



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21時を過ぎた頃

外から馬の嘶きが聞こえ、静雄は玄関の外に出るとバイクに跨っているセルティとヘルメットを脱いでいるを出迎えた



「よぉ」



セルティはそれに片手で答え、は静雄の顔を見るとヘルメットを両手にしたまま嬉しそうに笑う



「静雄さん、ただいまです」

「あぁ。楽しかったか?」

「はいっ、とっても!!」

「そうか」



静雄の前でにこにこと笑うを見下ろして、静雄はふっと微笑む



「"ゴメン、道が混んでてちょっと遅くなった"」

セルティが取り出したPDAを静雄に差し出すと、静雄は首を振った

「いや、こっちこそ一日中ありがとな」

「"気にするな、私も楽しかった。そっちはどうだった?"」

「あー…、何回か新羅の腕を折り掛けた…」

「"!?"」

「安心しろよ、かろうじて折ってないから」

「"あ、あぁ…、何だかすまない…"」



しれっと答える静雄に苦笑いを返すと、セルティは更にPDAに文字を打ち込み静雄に見せた



「"それじゃぁ私は帰るよ"」

「おぅ、気をつけて帰れよ」

「セルティさん、今日は本当に有難う御座いました」

「"あぁ、またな"」



セルティはそう言ってPDAをしまってハンドルを握り直すと、に向かって声を掛けた



「告白、頑張ってね」

「…が、頑張ります…!!」



が告白と言う言葉に慌てながらもそう答えたのを満足そうに見つめて頷くと、セルティは音も無くその場から去って行った



「なぁ、セルティ何て言ってたんだ?」



セルティの後姿が見えなくなった後で静雄はに尋ねるが、は珍しく言葉を濁して首を横に振った



「っ…、内緒、です……」

「?」

「そ、それより!!今日は色々買ったんですよ。美味しかった物とか静雄さんにも食べて欲しくて」

「あぁ確かに凄い荷物の量だもんな」

「はい、色々見てたらおじさん達がオマケしてくれて…。あ、頼まれてた肉まんも買って来ましたよ」

「そうか、んじゃとりあえず中入るか」



の勢いに流され、静雄はそれ以上の言及はせず二人はようやく家の中へと入った

リビングに移動したは、次々と本日の戦利品を床に並べて行く



「これが春巻きで、これはお茶で…。こっちは頼まれてた肉まんと、オマケで貰った小龍包です後はそっちの袋が冷凍餃子で…」

「凄い量だな…、これ金足りたのか?」

「あの、それが…セルティさんがほぼ全額出してくれてしまって…」



静雄の問いに、はそう申し訳無さそうに答える



「私が持っているお金も静雄さんが出してくれたものですし、"私が出します"と言い切るのもどうかなって考えている間に結局…」



自分が稼げない事に対して普段から負い目を感じているは、説明しながらしょんぼりと肩を落としてしまう

静雄はそんなに気にするなと言いながら頭をぽんと優しく押さえた



「まぁお礼はまた今度にして、今回は遠慮せず貰っておけば良いさ」

「……はい…」

「で、そっちのは何だ?」



ふと未だに少し落ち込んだままのの横にある紙袋が目に留まり、指差しながら静雄は尋ねる

は思い出したように顔をあげると、一瞬迷ったような仕草の後で袋を静雄に手渡した



「これは食べ物じゃないんですけど、お土産です。静雄さんにと言うか、私にと言うか…」

「へぇ…、開けて良いか?」

「はい」



こくりと頷くの前で静雄は袋から箱を取り出し中身を取り出す



「マグカップか」

「はい。あの、お揃いで可愛かったのでつい買っちゃったんですけど…」

「本当に好きなんだな、パンダ」

「す、すいません」



取り出したペアのカップを見ながら静雄が笑うと、は恥ずかしかったのか顔を赤くして俯いた



「お揃いは…流石に図々しいかなと思ったんですけど……」

「図々しいって…何でだ?」

「だって、ペアの物は恋人同士の物なんですよね?」

「…まぁ、世間一般じゃそうかもな」

「だから、迷惑かなって思って…」



俯いたまま呟くに静雄が声を掛けようとすると、は顔を上げて真っ直ぐ静雄を見つめた



「でもっ…」

「………」

「ゎ、私が欲しかったんです…、静雄さんとお揃いの物…」



はこれ以上無い位に顔を赤くしながら静雄に説明する



「私、静雄さんに拾われてから今でも迷惑ばっかり掛けちゃってますけど…、でも、静雄さんの傍に居たいんです…」

…」

「臨也さんに会ったあの日に、静雄さんが手を伸ばしてくれて本当に嬉しかったんです…。
例え私の我侭でも、必要とされていなくても…、私は静雄さんと一緒に居たいんです。だから、何て言うか…私、静雄さんの事が…」



がそう意を決して伝えようとした瞬間、静雄はその言葉を遮っての身体を腕の中へと引き寄せた



「っ静雄さん…?」

「…、本当は言うつもり無かったんだけどな…」

「…?」



静雄は突然の事に驚いた顔で見上げるの身体をぎゅっと抱き締めながら独り言の様に呟く

そしての身体を離して両肩に手を置くと、真っ直ぐにの目を見据えて告げた



「好きだ」

「…ぇ?」

「好きなんだよ、お前の事が」



言葉の意味が良く理解出来て居ない様子のに静雄は再度ゆっくりと伝える



「本当…ですか?」

「あぁ…。俺の言う事が信じられないか?」



言葉の意味は理解出来ても未だに実感が沸かないのか、不安そうに尋ねるに静雄は逆に問い掛ける

そんな静雄の問いに首をぶんぶんと左右に振ると、は両手で顔を覆って俯いた



「何で泣くんだよ」

「ごっ、ごめんなさい…。なんか嬉しくて……」



謝りながらも泣き続けるの頭を暫くの間静雄が優しく撫でていると、てはやがて涙目のまま顔を上げる

そして溢れる涙を何とか拭い、静雄の右手を両手で包むように握ると緊張した面持ちで口を開いた



「ゎ、私も好きです。…静雄さんの事、本当に大好きです」



先程言い切れなかった言葉をもう一度口にしながら、は静雄の手をきゅっと握る

その表情、仕草、声の全てが愛しくて、静雄は空いている方の手で顔を覆い溜め息を吐いた



「あの…?」

「可愛すぎるんだよ…。我慢出来なくなるだろ?」



静雄はそう困ったように笑って呟くと、顔を覆っていた手をの手に重ねて思い出したように時計を確認した



「っと、そろそろだな」

「何がですか?」

「ちょっと待ってろ」



の質問には答えず、静雄は握っていたの手を離すとベッド脇から紙袋を取り出してに手渡した



「?」

「俺からも土産。…まぁ土産って言うかプレゼントなんだけどな」

「プレゼント、ですか?」

「あぁ、とりあえず貰っといてくれ」

「有難う御座います…。あの、開けてみても良いですか?」

「おぅ」



まるで子供のように喜ぶを静雄が微笑ましく見守る中、紙袋の中から取り出したはそれを広げるとぱっと顔を明るくした



「パンダ…!!」

「の、パジャマな」

「凄い可愛いです…!!これ私が貰って良いんですか!?」

「そりゃその為に買って来たからな」

「有難う御座いますっ!!  あの…でも、どうして急に?」



がパジャマを抱き締めながら首を傾げると、静雄は再度時計を見て指差した



「今0時超えただろ」

「はい」

「今日がお前がうちに来て半年の記念日なんだとよ」

「半年…」



感慨深そうに呟くの言葉に頷いて、静雄は新羅に呼ばれた理由などを説明しながら改めての方へ向き直った



「ぁー…、こう言う時何て言うのか解らないんだけどよ、なんつーか、これからも宜しくな」

「っはい。こ、こちらこそ、ぇえと…不束者ですが宜しくお願いします…!!」



珍しく照れた様子の静雄に向かい、はたどたどしく挨拶をしてぺこりと頭を下げる



「不束者って…、何処で覚えたんだそんな言葉…」

「ぇっと、セルティさんに…」

「セルティ?」

「はい。告白してOKを貰ったら言うようにって…」

「そうか…。あぁ、じゃぁさっきの帰り際の頑張りますってのは…」

「あの時、セルティさん"告白頑張ってね"って言ってくれたんです」



照れたように笑うの説明を聞き静雄が納得した所で、は何かに気付いたように動きを止めてパジャマを見ながら首を傾げた



「どうした?」

「そう言えば…、これが入っていたのと同じ紙袋を新羅さんに貰ったんですよ」

「は?」

「実は今日帰宅が遅れたのは渋滞してたからじゃなくて、新羅さんが渡したい物があるから帰る前に寄るように連絡をくれたからで…」



は説明しながら中華街の土産物の中に混じった紙袋を引っ張り出して自分と静雄の前に置いた



「寝る前に開けて、開けるまでは静雄さんには内緒にって言われてたんです。ほらこれ…静雄さんが今くれたのと同じ紙袋ですよね?」

「………同じ、だな…」



嫌な予感が静雄の脳内を駆け巡る中、は新羅から受け取った紙袋の中身を取り出す

そして中から出て来たのは案の定と言うべきか、にプレゼントしたパンダ柄パジャマの男性用サイズだった



「わぁ、お揃いですね!!」

「あの野郎…」



目を輝かせて無邪気に喜ぶの前で、静雄は頭を抱える



「静雄さんっ、早速着てみませんか!?」

「や、俺は…」

「駄目…ですか…?」



心の中で新羅に向かい物騒な言葉を呟き続けるものの、の期待に満ちた眼差しを受けて思わず押し黙る



「静雄さん…」

「………」



潤んだ瞳で両手を組んで見上げられた静雄は、やがてがっくりと肩を落とすとの手からパジャマを受け取った



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「ふぇっくしゅ!!」

「"どうしたんだ?風邪か?"」

「いや、誰かが僕の噂でもしてるんじゃないかな…」



リビングでソファに腰掛けながら、新羅はずれた眼鏡を直してくすくすと笑う



「多分今頃お揃いのパジャマ着てきゃっきゃうふふしてる頃だろうね」

「"お前…、次会ったら本当に折られるぞ?"」



セルティは打ち込んだ文字を呆れ気味に新羅に見せる



「そうだね、暫くはちゃん抜きで会うのは危険かもしれないなぁ…」

「"自業自得だ"」

「厳しいね。でもちゃんは何でそんなにパンダが好きなんだろう?セルティ何か聞いてるかい?」

「"あぁ、パンダって普段はのんびりしてるのに実際は肉食獣だし結構獰猛だろ?"」

「うん」

「"そこが何となく静雄に似てるかなって思ったら好きになったんだってさ"」

「うわぁ、それ結局ちゃんが好きなのパンダじゃなくて静雄じゃないか」

「"まぁ、そう言う事だな…"」



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「静雄さん可愛いです…!!」

「なぁ、この事は絶対誰にも言うなよ?」

「新羅さんとセルティさんにも駄目ですか?折角似合ってるのに…」

「駄目だ。それに…、お前の方が似合ってるし可愛い」

「静雄さん…」

、こっち来い」



こうしてセルティと新羅が新米カップルの誕生を微笑ましく語らっている頃、

パンダ柄パジャマに身を包んだ二人は新羅の予想通り今まで以上に甘い雰囲気だったとか―



- END -