滝口が目を覚ました時、そこは病院の一室だった 白い天井を見て自分の部屋では無い事を認識した滝口は、視線だけを動かして辺りの様子を伺う そしてようやく自分が病院に居る事を認識し、自分の身に起きた事を思い出した 「………」 幸い痛みは大した事が無かった為、ゆっくりと身体を起こして窓の外を見る 外は既に夜が明け太陽が昇っており、今の時間が知りたくて滝口はきょろきょろと周りを見渡す 壁に掛かっている時計を見つけ現在が12時過ぎである事を確認すると、滝口はぼんやりと思考を巡らせた 自分がダラーズに入ったのは、上下の関係が無く、特にルールも決まっていないと言う部分に惹かれたからだ ボスからの指令がある訳でもなく、メンバーと現実でつるむ事も無い そんな緩やかな雰囲気が自分に合っている様な気がして何となくチームに参加した 誰がメンバーか解らないと言う特質から時には良く無い噂が流れ、ニュースで話題にもなった しかしそれはあくまでもダラーズを名乗る何処かの誰かがやった事で、自分には関係の無い事だった カラーギャングにはチーム同士の抗争と言う物があると言う事は知っていたが、それすら自分に関係ある事だとは思っていなかった "色が無いのは安全だと思ってたろ?甘いんだよ!!" 昨日襲われた時、震える自分の頭上から降って来た声を思い出し滝口は息を呑む チーム同士の抗争なんて自分は関係無いと思っていた ダラーズは透明で他のチームとの係わり合いは無いと思っていた でもそれが間違いだったと、昨日嫌と言う程思い知らされた 自分が関わったつもりの無い抗争のせいで理不尽に取り囲まれて痛めつけられた恐怖が滝口の中に重く残る 「………」 もう辞めよう 透明で無くなってしまった以上ダラーズと言うチームに残る意義は無い 滝口がそう決意した時、病室の扉が開いた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ は来良病院へと向かう 今頃滝口の病室を帝人が訪ねている頃だろう 相変わらずどんよりと曇った空を見上げながら、は病院へと続く道をゆっくりと歩く やがて病院へと着いたが受付で滝口の病室を確認していると、丁度出てきた帝人の姿を見掛けた 何かを考えている様な横顔は先日の正臣に良く似ているとは思う ふと今この場で追いかけて声を掛けようかと思ったが、受付の看護士に呼ばれた為はそのまま滝口の病室へと向かった 「こんにちは」 「……?」 「具合、大丈夫?」 「えっと…」 が病室を訪ねると、滝口は不思議そうな顔でを見上げて首を傾げた 「あぁ、そうだよね、私の事とか知らないよね。ぇえと、私は。昨日救急車を呼んだ者です」 「ぁ…」 自分を指差しながら尋ねるの顔をまじまじと見て、ようやく思い出したのか滝口は小さく頭を下げる 「すみません…。助けて貰って有難う御座いました」 「ううん、お礼なんて…。私がもっと早く助けてあげられたら良かったんだけど、…ごめんね」 首を左右に振って呟かれた言葉に、滝口は再び疑問符を浮かべる 「あの…、昨日もそう言われた様な気がするんですけど、どうして謝るんですか?」 「ぇ?それはその…、滝口くんが襲われてる所も目撃してたんだけど、黄巾賊の人達が怖くて近寄れなくて助けるの遅れちゃったからって言うか…」 「そうだったんですか…。でもそれは仕方ない事なんで…、あまり気にしないで下さい」 「うん…、ありがとう。そう言って貰えるとちょっと救われるよ」 そう言って何処かぎこちなさそうな笑みを浮かべるに、滝口は微かな違和感を覚えてを見つめる 「…怖かったよね」 「ぇ?」 しかしがふいに零した言葉に、滝口は驚いたような声で問い返す 「だってダラーズってだけで何もしてないのに襲われて、殴られて、腕まで折られて…、怖かったでしょ?」 「それは…」 「恨んでるよね?黄巾賊の事も、何もしてくれないチームのリーダーの事も」 「…何で……」 何でそんなに色々と知っているのか そんな疑問を口にし掛けて、滝口は先程の違和感の正体に気付いた この人はどうして自分の名前を知っているのか どうして襲ったのが黄巾賊だと知っているのか どうして自分がダラーズである事を知っているのか どうしてチームのリーダーに対する不満を知っているのか… 「…どうしてですか?」 「ん?」 「どうして貴女はそんなに色々知ってるんですか?名前は受付で聞いたとしても、それ以外は…」 襲われていた自分を助けてくれたのだから、悪い人では無いと思う しかし信用するにはあまりにも謎の多いを前に、滝口は不信感を持ったままを見つめる するとはきょとんとした表情で滝口を見返した後、一呼吸置いてから困ったように両手で顔を覆った 「あ〜…、ごめんね。説明しないで話し始めるの私の悪い癖なんだよね…。ぇっと、前提として、私もダラーズなんだ」 「さんも…」 「うん。だから今ダラーズと黄巾賊が危うい状況って知ってるのね」 「………」 「後は…、君が襲われた現場に黄色いスプレーで落書きが残ってたから、黄巾賊の仕業なのは誰でも解るし」 「なるほど…」 「で、その黄巾賊に襲われてたんだから君もダラーズって事で間違いないかな、って」 順を追って説明してみせるの言葉を聞きながら、滝口は納得したように頷く 「そんな感じで、疑問は晴れたかな?」 「…はい、納得しました」 「実は私もね、斬り裂き魔事件の時被害受けた事があるから…、襲われた時の恐怖とかは解ってるつもりなんだ」 「斬り裂き魔に?」 「私の場合は滝口くん程重症じゃ無かったけど。でも暫くは襲われた時の事がトラウマで夜眠れなくなっちゃってね」 罪歌に斬られた時の事を思い出しながらは言葉を続ける 「だから、滝口くんも昨日の事がフラッシュバックして辛い思いをするかもしれないから、少しでもフォロー出来たら良いなって思って…」 「それでわざわざ来てくれたんですか?」 「うん」 驚いた様な顔で尋ねる滝口にがこくりと頷くと、滝口は緩く笑った 「ほんと、ダラーズって色んな人が居ますよね」 「そうだね」 「良い人もたくさん居るのは解ってるけど、やっぱり良い人だけって訳には行かないんですかね」 「………」 「俺…、ダラーズ辞めようと思ってるんです」 「そっか」 「止めないんですか?」 「止めないよ。滝口くんが決めた事だし、あんな目に合って怖い思いをしたんだから当然だと思うもん。でも…」 「?」 「多分割とすぐに戻って来る事になると思うよ」 「どうしてですか」 「…何となく、かな」 滝口の問いに悪戯っぽい笑みを浮かべて答えると、は時計に目を向けて立ち上がった 「さて、あんまり長居しても何だしそろそろ行こうかな」 「ぁ、はい。あの、わざわざ有難う御座いました」 「どういたしまして。それじゃぁお大事にね」 はそう言って片手をひらりと振ると病室を後にした ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「はぁ…」 出口へと向かう廊下を歩きながら、は一人大きく息を吐く この世界に来てから、自分はどんどん嘘が上手くなっている様な気がする 先程滝口にした説明も、事実半分嘘半分の事ばかりだ 騙そうとしたり陥れる為では無いものの、自然に口からでまかせが出る様になったのは臨也の影響もあるのだろうか 「ちょっとやだなぁ…」 そんな独り言と共に病院を出たは、駅までの道を歩きながら切っていた携帯の電源を入れた すると狩沢からの不在着信が1件あり、は歩きながら折り返しの電話を掛ける 「ぁ、もしもし絵理ちゃん?」 『?ごめんね、何か忙しかった?』 「ううん、ちょっと知り合いのお見舞いに行ってただけだよ」 『じゃぁ今って来良病院の近くとか?』 「そうそう、今駅前向かって歩いてるとこ」 『そっか。実は私達これから町の見回りに行くんだけどさ、良かったらも来ない?』 「ぇ?良いの?」 『うん。本当は今日ドタチン仕事だから止めとこうと思ったんだけど、ドタチンが"自主的に他人の為に動く感性位持て"って言うからさ』 狩沢は少しだけ不服そうに呟く 『まぁそんな訳だから、一緒に見回りしようよ』 「解った、それじゃぁどうしよう、駅に居れば良いかな?」 『そうね、駅前で拾うから解りやすい所に立っててくれる?』 「うん、それじゃぁまた後でね」 『またねー』 通話を終えたは、携帯を鞄に戻しながらこれまでとこれからの展開を思い浮かべる 恐らく今は正臣が黄巾賊のアジトで比嘉の顔に蹴りでも入れている頃だろう そして門田が仕事で来れないと言う狩沢の言葉から、門田と道端で遭遇した帝人がダラーズの存在意義について尋ねる事を思い出す 確かその前には杏里とセルティが内緒モードでの会話をしていて、杏里はやり方が解らず臨也扮する甘楽に突っ込まれていたハズだ 「………」 駅前に到着したは一通りの流れを思い出しながら臨也の顔を思い浮かべ、小さく息を吐いて顔を上げると狩沢達を待った 「ー!!」 やがて見慣れたワゴンがの前に停まり、中から狩沢が手を振る はワゴンに駆け寄ると、いつも通り後部座席に乗り込んだ 「お邪魔しまーす」 そう言って狩沢の隣に座るをバックミラー越しに見ながら、渡草は首を傾げる 「おぅ。つーか何で後ろなんだよ?助手席空いてるのに」 「ぇ、だって助手席は門田さん専用って感じでちょっと気が引けるかなって」 「何だそりゃ?」 「それなら俺が助手席に座るっすよ。と狩沢さんは後ろでいちゃいちゃしてて下さいっす」 そう言うが早いかいそいそと助手席に移動した遊馬崎はミラー越しにと狩沢を見てぐっと親指を立てる 「…お前最近そのキャラ定着して来たよな……」 渡草はそんな遊馬崎の隣で脱力気味に呟くと、気を取り直してワゴンを発進させた 「ねぇねぇ。見回りってさ、具体的にはどんな事するの?」 「そうっすねぇ、町をこうして回りながら、何か事件が起こりそうだったり起こっていたら速やかに通報したりっすかね」 「あれ?自分達で止めに入るとかじゃないんだ」 「そりゃ緊急時は撥ねたり殴ったり拷問したりもするけど、基本的には直接は関わらないのよ」 「俺等もそれなりに顔が知れてるからあまりでしゃばった真似すると面倒だしな」 「なるほどね」 3人の説明で納得したは窓の外に目を向ける 「でもこうやってちょっと見て回るだけでも黄色い人達結構居るねー…」 「まぁ1人とか2人で歩いてる奴はどうだって良いんだけど、問題なのは集団よね」 「そう言う奴等が溜まりやすいのは人通りの少ない場所や路地裏と相場が決まってるっす」 「んじゃちょっと狭い道走ってみるか」 渡草はそう言うと中池袋公園を左に曲がり、郵便局方面へと車を進めた ワゴンが公園を通り過ぎた丁度その頃、静雄は自販機で買った缶を両手に中池袋公園の前を歩いていた 「おいこらぁ!!」 トムを追い掛けている途中でぶつかってしまった静雄を、黄色い帽子の男が呼び止める 「ぶつかっといて挨拶も無しかぁ!? って…ぁ……」 「あぁ?」 「平和島…」 「あぁ!?」 「静……雄…」 「あ"ぁ"!?」 「いやー、今日も良い天気だなー」 しかし男達は振り返った人物が平和島静雄だと解るや否や、何とかやり過ごそうと一斉に誤魔化す 「おーい静雄ぉ」 「うーす」 静雄が怪訝そうに見ていると背後からトムに呼ばれ、静雄はそのままトムの元へと小走りで向かった 「すんません、コーヒーいつものありませんでした」 「おぅサンキュ。つーか今の奴等黄巾賊だよな」 「多分そうっすね」 「本当最近良く見るよなぁ。ちゃんとか絡まれやすそうだけど大丈夫なんかね」 「………」 「何、お前連絡取って無いのかよ?」 「取って無いっすね」 呆れ顔のトムに静雄が答えると、トムは静雄の手から缶を1本受け取りながら尋ねる 「メール位すりゃ良いだろ、アドレス知ってるんだし。それともあれか?メールしたくても話題が無いとかか?」 「まぁ…」 「じゃぁ今しとけ。最近物騒だけど変わりないか、って」 「いや、でも」 「良いからしとけって。気になってるんだろ?お前最近前にも増してピリピリしてるぞ」 「…すんません」 トムのため息混じりの台詞に短く謝りながら、静雄はポケットから携帯を取り出した 「ん?」 「どしたの?」 「うん、何かメールが来たみたい」 見回り中のワゴンの中ではそう言って鞄から携帯を取り出す 「普段絵理ちゃん達以外からメールなんて来ないんだけど…」 取り出した携帯を操作しながら呟いて、はメールを開く 「あれ、静雄さんからだ」 「ぇ、何々何だって?」 「何かさっき中池袋公園付近で黄巾賊の人達に会ったんだって」 「中池袋公園ってさっき通った所じゃないっすか」 「すれ違いだったんだな」 「そうみたいだね…って……」 遊馬崎と渡草の言葉に頷きながら、はハッとした様に顔を上げる 「どうしたんっすか?」 「そっか、今静雄さんが黄巾賊の人達と会ったって事は杏里ちゃんも…」 尋ねる遊馬崎の言葉も聞こえていないのか、は何かを確認する様に呟くと3人に向かって告げた 「ごめん、私そろそろ帰らなきゃ」 「もう?ぁ、もしかしてこれからまた何か起こるの?」 「ぇっと、多分何か起こるのは正確には今日じゃなくて18日の日なんだけど、今日はこの後家で調べたい事があるから…」 「18日って事は3日後っすね」 「でもそんな事俺達に言っちまって良いのかよ?」 「ぇ?ぁ、解んないけど…。でも18日は渡草さん達も居たし、いずれ解る事だから多分大丈夫…かな」 「うーん…、良く解んないけど、3日後ってが帝人くんに会うって言ってた日よね?」 「うん。本当はその日まで絵理ちゃん達には会わないんだと思ってたんだけど…」 「そう言えば一昨日そんな事言ってたっすね」 「でも今日3人に会ったって事はきっと何か意味があるような気がする。それが何かは解らないけど…」 「良いっすねぇ、何だか物凄く物語の主人公っぽい台詞っす」 「確かに!!異次元での物語を結末を知りながらも見届けるなんてラノベにしたら売れそうよね」 「まぁ何でも良いけどよ、とりあえず帰るっつーならこのままお前の家まで行くぞ?」 そう言ってハンドルを切りながら渡草はミラー越しにに尋ねる 「ぁ、うん。でも良いの?見回り中なのに…」 「そりゃ当たり前だろ」 「見回り優先でが帰り道に黄巾賊に絡まれたなんて事になったら目も当てられないっすからね」 「そうそう。ってばどっか隙だらけなんだから気をつけなきゃ」 「うぅ。ごめんね皆、有難う」 こうして渡草のワゴンでマンションまで送って貰ったは、帰宅するとすぐに携帯を充電器に繋ぎダラーズの掲示板を開いた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19:32 掲示板では黄巾賊による被害の報告が相次ぎメンバーはそれぞれ不安を露にしていた 「………」 はじっと掲示板の動向を眺める 帝人も今頃自宅で掲示板を覗いているハズだ "池袋いけねーよ" "もうダラーズなんてやめる!!" "本当にダラーズの中に斬り裂き魔がいるんじゃね?" "このまま黄巾賊にやられっぱなしかよ!" "反撃すべし!!" 次々と様々な意見が飛び交う様子を見ていると、ふいに携帯がメールの着信を告げた 一度ブラウザを閉じてメールを開き、は帝人からの創始者としてのメールを確認する 何があっても暴力行為は しない方が良いと思いま す。事態が落ち着くのを待 つのが一番では無いでしょうか? 届いたメールを確認し、帝人の心境を思いながら再度掲示板を覗く するとあちらの世界でも見た通り掲示板ではリーダーに対しての批判が高まる一方で、はそれらを読みながら肩を落とした 匿名の書き込みと言う性質のせいか、過激な意見や心無い意見が目立つ 今此処に書き込んでいる人の意見が全てでは無い事は解っている 悪い人だけでなく、良い人が居る事も解っている それでもこれらを読んだ帝人が苦悩している事を思うと、当事者では無いとは言えの胸は痛んだ 「うー…」 ベッドにうつ伏せになりながら、は携帯を片手に枕に顔を埋める そしてふと、先程静雄から貰ったメールに返信していない事を思い出した 「返信しなきゃ…」 もぞもぞと枕に伏せていた顔を携帯に向け、は返信を打つ 静雄のメール内容は、自分が黄巾賊とぶつかった事に加え最近増えているそいつ等に絡まれたりしていないか、と言う物だった 「ぇっと…、"今日は絵理ちゃん達と街を見回りしてたよ。今の所絡まれたりしてないから大丈夫だよ"…と」 簡潔な文章を打ち、送信ボタンを押す は返信を済ませると、再びブラウザを開いて何気なくチャットルームを確認した チャットルームはメンバーズページ内にいくつか常設してあり、帝人達がいつも使用している部屋は承認制の為許可の無い者は入室する事が出来ない もちろん書き込むこともログを読む事も出来ないが、現在書き込まれている内容だけは入室しなくても見る事が出来た 「ぁ……」 そして現在チャットルームに残されていたのは甘楽…もとい臨也のコメントのみ はそれらを読みながら、元居た世界で見ていた時に臨也が本当に独りなんだと感じたのは丁度この場面だった事を思い出した 臨也がわざわざ性別を偽っている理由は、恐らく"甘楽=臨也"だと周囲に気付かせない為だろう 「…まぁ臨也のままじゃ皆身構えて噂が広め難いもんね」 それだけ自分が人々にとって油断ならない人物なのだと、臨也本人も自覚しているに違いない 今でこそ帝人には正体をバラしてしまったが、それまでは誰も甘楽=臨也だとは気付いていなかった 甘楽として誰も身構えずに会話出来ると言う状況は、臨也にとっては案外楽しかったのかもしれない そんな想像を巡らせながら、は改めて甘楽による書き込みを見て息を吐いた ―― 現在チャットルームには誰もいません ―― 甘楽さんが入室しました "きゃっほーーーーーヽ( ´∀`)ノーーーー" "甘楽ちゃんでーす" "あれぇ、どなたもいませんねぇ" "まさか、わたしをのけものにしてみなさんでお楽しみですか〜?" "プンプン!" "でもいいんです" "私も絶賛お楽しみ中なのでーーーす" "ゲームが盛り上がって来たので、私も落ちます!" "バイバイビーーーー☆" ―― 甘楽さんが退室しました ―― 現在チャットルームには誰もいません - Next Ep27 - |